おっさんの胃袋をわしづかみ、“肉撃”ですぐさま利益改善を遂げた大阪王将:本当の顧客は誰か?(3/3 ページ)
中華料理チェーン「大阪王将」などを展開するイートアンドは一昨年、ターゲット顧客と商品戦略の見誤りなどから営業利益を大きく下げた。そこから戦略を練り直し、すぐにV字回復したわけだが、その取り組みとは一体――。
新業態立ち上げ、海外展開と販路を広げる
これまで大阪王将は、創業地である大阪や東京を中心に店舗を増やし、現在は栃木、群馬、滋賀、山梨以外の都道府県で展開している。あくまでメインターゲットがサラリーマンをはじめとする男性客なので、便の良い駅前や繁華街での出店がほとんどだ。この方針が大きく変わることはないが、今後は「まだ未進出の北関東エリア、さらには単身赴任のサラリーマンがいる福岡や札幌といった地方の大都市への出店を強化したい」と文野社長は意気込む。
また、販路拡大のため、コンビニエンスストア大手のローソンと手を組み、ローソンの店頭で大阪王将の餃子やラーメンなどを販売。店内に併設するイートインコーナーで食べることができるほか、宅配サービスにも対応する。2015年12月にお台場海浜公園前店(東京都港区)、2016年2月には相模大野四丁目店(神奈川県相模原市)でこのコラボ業態を開始した。
「大阪王将は、うまい、早い、安い、便利がウリ。これはコンビニの中食と競合する部分だが、逆に一緒になることで消費者がもっと便利になるはずだと考えた」(文野社長)
海外出店も積極的に推し進める。現在は中国、シンガポール、香港、タイ、フィリピン、ミャンマー、ベトナムで大阪王将を24店舗展開。「外食の海外ビジネスは難しい。一進一退の繰り返しだ」と文野社長は漏らすが、それでもシンガポールでは現地の人たちが足繁く通う人気店になるなど、大きな成果を挙げている。その勝因について文野社長は「現地の優れたパートナーと協業したことで、味のクオリティやスタッフのマネジメントなどが日本の店と同じ高レベルで再現できた」と話す。
同社が掲げる「お客様の“おなかいっぱいのしあわせ”」という経営理念。その幸せを国内、そして海外へと、どこまで広げていくことができるか――。
【変更履歴】一部事実と異なる箇所があったため、記事初出時から変更しております。訂正してお詫び致します。(4/22 10:00)
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