リンガーハットが、24億円の最終赤字から「復活」できた理由(1/3 ページ)
「長崎ちゃんぽん」でおなじみのリンガーハットが好調だ。今期の業績予想は売上高395億円と、6期連続の増収を見込んでいる。そんな同社だが、実は過去10年間で4度の最終赤字を計上しているのだ。そこからどのような復活劇を遂げたのだろうか?
1997年には約29兆円の市場規模を誇った日本の外食産業だが、その年をピークに減少傾向にある。リーマン・ショック後に少し持ち直してはいるものの、昨今ではピーク時より約5兆円も売上高が落ちてしまっている。
特に、全盛期を支えた居酒屋チェーンや大型ファストフードチェーンなど、チェーン店の苦戦が続いている。つい先日、日本マクドナルドが過去最大となる347億円の赤字を計上したのが典型的だろう。
そうした中、好調を維持する飲食チェーンがある。長崎ちゃんぽんを主力商品とするリンガーハットだ。
とんかつ専門店「浜勝」などグループ会社を含めた連結決算を見ると、直近の2016年2月期 第3四半期の売上高は前年同月比9.0%増の304億6600万円、営業利益は同54.2%増の20億2000万円、当期純利益は同107.3%増の9億4100万円と、大幅な増収増益を達成した。
16年2月期通期の業績予想は、売上高395億円、営業利益26億円、純利益11億円を見込んでおり、売上高は6期連続の増収、純利益は4期連続の増益になることはほぼ確実と言えるだろう。
リンガーハットは、1962年に長崎で創業。1974年に現在のリンガーハットの原型となる「長崎ちゃんめん」の1号店を開店した。70年代の外食産業急成長の波に乗り、破竹の勢いで出店攻勢をかけ、九州エリアでそのポジションを確立した。79年には関東進出を果たし、一躍全国区のチェーンへと事業拡大を遂げた。現在は、全国に600店舗以上、海外は米国、香港、タイへ出店している。
人気の秘密を探るべく、平日のランチタイムにリンガーハットの渋谷道玄坂店に行ってみた。縦長の店内はカウンンター席がメイン。ビジネスマンだけでなく、若い女性客も入っていた。主力商品である「野菜たっぷりちゃんぽん」(730円)を注文。テーブルの上は清潔に保たれ、席と席の間も適度に距離があり、女性1人でも安心して入れるのも納得できる。2分ほどで提供された野菜たっぷりちゃんぽんは、キャベツ、もやし、人参、エビ、コーン、枝豆、豚肉、かまぼこなど、彩り豊かな野菜や具材が高く盛られている。
詳しくは後述するが、実はこれこそが同社のビジネス成長を支える一因なのである。
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