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「パンケーキの行列」だけに依存しない EGGS 'N THINGS・荻野社長事業をどう伸ばす?(1/2 ページ)

ここ数年のうちに日本で一躍ブームとなったパンケーキ。その火付け役の1つとしてハワイからやって来たのが、約40年続く老舗レストランのEggs 'n Thingsである。日本でのビジネス展開などについて日本法人社長を取材した。

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 東京・原宿エリアを舞台に数年前から繰り広げられている“パンケーキ戦争”。平日にもかかわらず、パンケーキを提供するレストランやカフェの店頭には、若い女性を中心に長蛇の列が続いている。こんな光景を目にした人も多いはずだ。

 そのブームの担い手の1つが、5年前に初の海外展開先として日本に進出した米国・ハワイの人気カジュアルレストラン、Eggs 'n Thingsだ。

Eggs 'n Thingsの看板メニューであるパンケーキ
Eggs 'n Thingsの看板メニューであるパンケーキ

 Eggs 'n Thingsは、1974年にジェリー・フクナガおよびジャン・フクナガ夫妻が開業して以来、長年にわたってハワイのみで地元の人々や観光客を相手に運営していたが、タリーズコーヒージャパン創業者で、現参議院議員の松田公太氏が日本での事業権を得て、2010年3月に日本1号店となる原宿店をオープンした。

 現在、日本法人のEGGS 'N THINGS JAPANで代表を務める荻野忍氏は、松田氏と同じタリーズコーヒージャパン出身。主に店舗企画メンバーとして100以上の店舗設計や新店舗の立ち上げに携わった。その後、松田氏とともにシンガポールへ拠点を移し、タリーズコーヒーインターナショナルでアジアでの店舗展開などに従事した。

地方に出店加速

 「All Day Breakfast」をコンセプトに掲げるEggs 'n Thingsの看板メニューは、冒頭でも紹介したパンケーキだ。見た目のインパクトなどが話題を呼び、オープン当初から「ぜひ一度食べてみたい」という人たちが殺到した。billsやRAINBOW PANCAKE、Cafe Kailaなど他のレストランとともに、日本では馴染みの薄かったパンケーキを一躍ブームにしたのである。なお、各店舗とも原宿、表参道エリアに集中していることで、このエリアは「パンケーキ激戦区」などと呼ばれている。

日本1号店の原宿店(出典:同社サイト)
日本1号店の原宿店(出典:同社サイト)

 Eggs 'n Thingsの業績は非公開とするが、日本に進出以降、増収増益を続けているという。現在は全国で10店舗(直営6店舗、フランチャイズ4店舗)を展開。特に2015年は出店を加速し、3月末にオープンした名古屋を含めて4店舗以上を計画する。出店強化の理由について、荻野氏は「1号店開業から2年間は新規出店をせず、店舗オペレーションや商品知識、ブランドに対する考え方などをスタッフにしっかり浸透させた。その土台が整ったことで店舗の急拡大が可能となった」と説明する。

 新店舗の拠点選びに関して、東京以外の出店エリアは主に政令指定都市で、まずは商業施設ではなく中心市街地に路面店を構えてブランド価値を高めていく。他方、ハワイのイメージを想起させるために海に近いロケーションも重視する。湘南江ノ島店や神戸ハーバーランド店などがその例だ。

 顧客のコアターゲットはF1層(20歳〜34歳の女性)だが、店舗ごとにばらつきがあり、お年寄りの来店客も少なくないという。客単価は1350円。来店客の大多数はパンケーキ(700円〜1200円)とドリンクのみを注文するが、他のメニューとの組み合わせ提案などによって客単価を1500円に引き上げたいとする。売上高が最も大きいのは原宿店で、次が心斎橋店。原宿店は月平均で1万人以上の来店客がある。単純計算で月間売り上げは1350万円を超える。

 現在、外国人客の割合は1割未満とわずかだが、最近は海外の旅行ガイドブックに日本のEggs 'n Thingsが紹介されるようになり、中国や香港、インドネシア、マレーシアなどからの客が増えているという。今後ますます訪日外国人が増加傾向にあることもあり、それに対応するためメニュー表を多言語化するとともに、外国人スタッフの採用にも力を入れる。

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