「パンケーキの行列」だけに依存しない EGGS 'N THINGS・荻野社長:事業をどう伸ばす?(2/2 ページ)
ここ数年のうちに日本で一躍ブームとなったパンケーキ。その火付け役の1つとしてハワイからやって来たのが、約40年続く老舗レストランのEggs 'n Thingsである。日本でのビジネス展開などについて日本法人社長を取材した。
ディナー強化で客単価を上げる
今後のビジネス成長に向けた取り組みは主に2つ。1つは売り上げを伸ばし客単価を上げるために、パンケーキ以外の定番商品を作ることだ。上述したように、多くの来店客はパンケーキが目当て。裏を返せば、それ以外のオーダーは取りにくい。荻野氏は「フレンチトーストやエッグベネディクトといった朝食メニューを強化、拡充し、顧客の選択肢をもっと増やしたい」と意気込む。
加えて、ディナーの充実を図る。これまでは日中のカフェ利用が中心で、まだまだディナータイムでの集客は弱かったが、4月からは17時以降の予約を取れるようにして、ハワイアン料理やアルコール類が気軽に楽しめるレストランをアピールする。メインターゲットとなる20〜30代女性による“女子会”などでの利用拡大を見込む。
「今まではラーメン屋のようにカジュアルな飲食店というスタイルで展開していたので、すぐに食べたければ並んで入店してもらうのが一番早かった。しかし、行列に並ぶから行きたくないという顧客がいたのも事実。彼らに対して、事前予約すれば並ばずに入店できるということをアピールしてもいいのではと思うようになった」(荻野氏)
今後に向けたもう1つの取り組みは職場環境の改善である。今の外食産業は人材確保が難しく、Eggs 'n Thingsにとっても例外ではない。そうした中で「飲食業で働く楽しさ、喜びを強く持ってもらえる会社にしたい」と荻野氏は語る。
そこでEggs 'n Thingsでは、2014年12月から人事制度を改定し、社員の休日を月6日から8日に増やした。また、以前から残業代や賞与をしっかり支払うなど、同規模の外食企業よりも給与体系の安定性を強調する。今後は管理部門の人材を極力抑えて、店舗の現場スタッフに利益還元できる体制を作っていくという。
「スタッフのワークライフバランスが最優先。それができない限り、いくら店舗で顧客に笑顔を振りまけと言っても難しいだろう」(荻野氏)
浮き沈みの激しい外食業界において、これからも顧客のハートと胃袋を掴み続けられるか。一過性の盛り上がりで終わらせない次の一手が今こそ求められているのである。
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