年間売り上げ100億円 なぜ売れ続ける「白い恋人」を作れたのか(3/4 ページ)
1日に90万枚を製造し、年間売り上げは約100億円。北海道のお土産売り上げランキングでは毎年のようにトップの位置にいる。そんな“お化け商品”白い恋人はどのようにして誕生したのか。石屋製菓の担当者から詳しい話を聞いた。
“変わらない安心”がロングセラーのワケ
白い恋人は誕生してから40年近く経つが、現在でも売り上げは伸び続け、航空会社などが発表するお土産売り上げランキングにおいて常に上位の位置にいる。一体なぜ白い恋人は、これだけ長く支持されるのだろうか。
その秘密は、“中身を一切変えない”という一点に尽きると同社は説明する。クッキーを取り出しやすいように梱包材を改善するなど、外側の部分での細かい改善はあるが、商品の中身自体は絶対に変えない。
例えば、一度売れたヒット商品は、期間限定で味を変えるなど、派生商品を出す企業は多い。だが、白い恋人は「ホワイト」「ブラック」を発売して以降、派生商品を一切絶対に出していない。「いつでも変わらない味、品質だからこそ、長年支持されているのです」と同社の製造部の責任者、柳澤和宏氏が語る。
「派生商品を出せば、一時的には売れるかもしれないが、そういうものはすぐに飽きられてしまいます。そうなったとき、本家の印象まで傷つけてしまいます。派生商品を出すときは、そうしなければ売れないという状況で行う最後の手段です」(柳澤氏)
常に変わらない「安心感」がロングセラーを生んでいるとして、同社はこれからも絶対にアレンジ商品を出さないそうだ。「お土産を買う人は、渡して失敗しないものを買いたい。だから奇をてらった商品を出すよりも、変わらず安心して買えるものを提供する方がいい」(同)
また、どんなに売れても道内限定販売を変えないところもポイントだ。プレミアム感を徹底して追求するためだという。「地方にもお土産品の販路を広げたことで失敗した企業をたくさん見てきました。そこでしか買えないというプレミアム感は非常に大切ですので、これからも変えません」(同)
関連記事
- 高くても売れる平田牧場の豚肉はこうして生まれた
ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、人気企業・人気商品の裏側を解説する連載。今回は「平牧三元豚」などのブランド豚で有名な平田牧場について読み解く。 - 激戦ラーメン市場、それでも「一風堂」が選ばれ続ける理由
31年前に福岡で創業したラーメンチェーン「一風堂」の成長が止まらない。国内外で出店攻勢をかけているのだ。1年間で約3600ものラーメン屋が閉店に追い込まれる激戦市場において、なぜ一風堂は顧客に選ばれ続けているのだろうか。 - 最初はまったく売れなかった明太子、どうやって福岡から全国区に?
日本で最初の明太子メーカーが、福岡市中洲に本社のあるふくやだ。創業すぐに明太子の販売を始めたが、実に10年間も鳴かず飛ばずだったという。そこからいかにして明太子は福岡の名産品にまで育ったのだろうか。 - お客はチラホラなのに、なぜビアードパパはインドネシアで絶好調なのか
甘い香りに誘われて、ついついビアードパパのシュークリームを買ったことがある人も多いのでは。目の前でクリームを詰める“実演販売スタイル”で店舗数を拡大してきたが、海外でも売れているとか。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.