「震災時、コンビニの営業は難しい」これだけの裏事情:コンビニ探偵! 調査報告書(2/5 ページ)
4月14日、熊本地震が発生した。しかし、その5日後に、大手コンビニチェーンの97%の店は営業を再開したという。このニュースを聞いて、多くの人は「それはよかった」と感じられたかもしれないが、筆者の川乃氏は違和感を覚えたという。なぜなら……。
コンビニの生命線は電気
コンビニの生命線のひとつといえば電気だ。停電になれば、営業が困難な状況に追い込まれる。冷蔵庫や冷凍庫が動かなければ、商品が傷んでしまうだけではない。何よりも困るのが、POSレジシステムだ。
レジスターが使えなくなれば、コンビニは想像以上の打撃を受けてしまう。かつては商品1つ1つに値札を付けていたが、いまは一部の商品を除いて値札は付いていない。バーコードを読み取ることで、3000〜4000種類ほどの商品の値段が計算され、預かった金額を入力するだけでお釣りが計算される。
「停電になったときには、予備バッテリーで動くのでは?」と想像されたかもしれない。確かに、停電時には予備バッテリーが動き始めるが、かつてのレジスターに比べ現在のモノは処理能力が格段に上がっているので、予備バッテリーの消費が早くなっているのだ。その昔、予備バッテリーは1時間ほど使うことができていたが、現在は30分ももたない。
予備バッテリーが動かなくなればどうするか。電卓を使って計算しなければいけない。「なーんだ、それなら中学生でもできるじゃないか」と思われたかもしれないが、現場はそんな単純な話ではない。電卓を使っての計算が想像するより遥かに難しいのだ。
先ほども触れたように、商品に値札が付いていないので価格が分からない。価格が分からない……という不安から電卓の入力ミスが生じやすくなる。手入力の作業が遅くなると、行列ができてくる。お客さんを待たしてはいけないというプレッシャーを感じる。不安やプレッシャーを感じながら仕事をしているときに、余震がやってくる。不安+プレッシャーだけでなく、そこに恐怖が加わってくるので、平常時のように冷静に作業することができなくなるのだ。
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