なぜJALの飛行機は“遅れにくい”のか 定時到着率1位の裏側:水曜インタビュー劇場(1分1秒公演)(2/6 ページ)
「飛行機=遅れる」といったイメージをもっている人も多いのでは。しかし、米国の企業が発表した「定時到着率ランキング」をみると、JALがトップ。JALは“遅れない”ためにどのようなことをしているのか。話を聞いたところ……。
羽田発―那覇着の901便が“問題”
土肥: 「飛行機=遅れる」といったイメージをもっている人が多いと思うのですが、JALの定時到着率の数字を見てびっくりしたんですよね。米国のFlightStatsという会社が調査を行ったところ、2015年は89.44%でトップ。つまり、10回乗ったら、9回はほぼ時間通りに到着するということですよね。そこで、ズバリお聞きしたい。お客さんは多いし、空港は広いし、便数もたくさんあるのに、なぜ全体の9割が定時に到着することができるのでしょうか?
矢嵜: ご指摘のとおり、羽田空港はお客さまが多いですよね。年間の乗降客数は約7500万人で、国内の空港の中では断トツに多い。繁忙期には、朝から晩までずーっとお客さまが途切れることがありません。また、広い。端から端までどのくらいあるのかというと、銀座一丁目から八丁目くらいあるんですよ。約760メートル。その広い中にたくさんのお客さまがいらっしゃって、第1旅客ターミナルの場合、搭乗口が1番から24番まである。お客さまの協力なしでは、定時到着率1位を獲得することは絶対にできません。
土肥: お客さんに協力させる工夫がありそうですが、その話はのちほど。矢嵜さんは飛行機が遅れないように、さまざまな角度から分析されているそうですが、具体的にどのようなことをチェックしているのでしょうか。
矢嵜: 私は羽田空港の国内線を担当しているのですが、路線ごと、搭乗口ごと、機種ごと、季節ごと……さまざまな切り口で、なぜ定時率がいいのか、なぜ悪いのかを分析しています。例えば、羽田発―那覇着の901便。朝の6時25分発の便なのですが、これがよく遅れるんですよ。なぜか。電車やバスが6時ごろに到着すると、たくさんのお客さまがどわーっとチェックインカウンターに駆け込まれるんですよね。
まずチェックインカウンターが混んで、その手続きが終われば、次にお客さまは保安検査場に流れる。当然、そこで混む。検査場で荷物のチェックなどが終われば、次にお客さまは搭乗口に流れる。当然、そこで混む。といった感じで、なかなか定時に出発することができないんですよね。
土肥: で、どうされたのですか。
関連記事
- えっ、予定通りに飛んでいない? 機内で何をしているのか、パイロットに聞いてきた
晴れている日もあれば、雨の日もある。無風のこともあれば、風が強いこともある。さまざまな状況の中で、パイロットはどのような会話をしているのか。JALの機長に聞いてきた。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 累計260万丁! 工具「ネジザウルス」がバカ売れした理由
これまで“絶対にはずせない”と思われてきたネジを、“絶対にはずす”工具「ネジザウルス」(運営:エンジニア)をご存じだろうか。工具は年間1万丁売れれば大ヒットと言われている中、ネジザウルスは累計260万丁も販売。消費者の心を“つかんだ”理由について、同社の高崎社長に聞いた。 - 眼鏡がいらなくなる? 世界初の「ピンホールコンタクトレンズ」にびっくり
近視や老眼をコンタクトレンズ1枚でカバーできる「ピンホールコンタクトレンズ」をご存じだろうか。現在、臨床研究を進めていて、2017年度中の商品化を目指しているという。どのような原理でできているかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.