えっ、山梨県がまさかの2位? 都道府県別にコンビニを分析してみた:コンビニ探偵! 調査報告書(3/3 ページ)
コンビニ経営から離れてしばらくたつが、都道府県別にコンビニの店舗数を定期的にデータ化している。ふと、これを他のデータと比較したらどうかと思い、いろいろ試してみたところ、意外なことが見えてきた。
「店舗数が多ければ良い」というわけではない
このことから、山梨県のコンビニ数が他の県(同じくらいの人口)よりも多いのは、道路に恵まれていることが考えられる。同じ理由からか、宮城県、群馬県、茨城県、富山県、石川県も比較的比率が高い。どの県も、物流という切り口から見ると「なるほど」と思う位置関係だ。
逆に、人口やコンビニ数はトップ10にランクインしていても、比率で見ると低い府県もある。千葉県、神奈川県、大阪府、福岡県も低い。
ちなみに、“商人の町”と呼ばれる大阪府は20位。独自の気質でコンビニが乱立することを許さなかったのだろうか。神奈川県は人口、コンビニ数ともに全国2位にもかかわらず、比率では21位と大阪府の下だ。
なぜ、主要都市にコンビニを増やすことができなかったのだろうか。これは筆者の考えだが、既にある建物をいきなりコンビニにするのは難しい。また、土地がないなどの理由から、コンビニを思った以上に増やすことができなかったのではないだろうか。さらに、競合のスーパーも多いので、採算の合うコンビニを増やすことができなかったのかもしれない。
1店舗当たりの人口が多ければ、それに比例して売り上げも伸びる。しかし、コンビニが増えれば、1店舗当たりの売り上げが下がることを意味する。元オーナーの視点でみると、「店舗数が多ければ良い」と単純には言えないのだ。
ともあれ、コンビニ率の高い地域に住む住民は、文字通り“便利な生活”を送っていることだろう。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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