「数百万人が宇宙で暮らす世に」――Amazon・ベゾスCEOがコロラドで語った未来とは?:宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)
先ごろ開催された全米最大規模の宇宙カンファレンス「Space Symposium」にて、米Amazonのジェフ・ベゾスCEOが宇宙ビジネスに関する将来ビジョンを語った。実に壮大だがリアリティある内容だったのだ。
4月12日、米国・コロラド州のコロラドスプリングスで全米最大規模の宇宙カンファレンス「第32回 Space Symposium」が開催された。そのキーノートに米Amazonのジェフ・ベゾスCEOが登壇し、自身が創業した航空宇宙企業、米Blue Originの取り組みや将来ビジョンを語った。
筆者もその場に居合わせたため、肌で感じた会場の熱気とベゾス氏が語った内容をストレートにお伝えしたい。
ジェフ・ベゾス氏は何を語るか
日本では、電気自動車メーカー・米Tesla Motorsのカリスマ経営者であるイーロン・マスクCEOが率いる宇宙ベンチャー、米SpaceXに関する報道が多いものの(関連記事)、最近ではBlue Originの再利用ロケットのニュースも流れるようになった。
特に同社が開発する「New Shepard」2号機は、2015年11月に高度100kmまで到達後、地上の着陸に成功。その後、2016年1月には、同じ機体で再び打ち上げし、宇宙空間まで到達してから地上着陸に成功した。そして、4月3日には3回目の再利用飛行と着陸を成し遂げたのだ(なお、SpaceXのFalconも着陸に成功しているが、双方では到達高度が異なる)。
これまであまり情報公開をしてこなかったBlue Originだが、今回のSpace Symposiumではベゾス氏に対する30分間のインタビューセッションが行われた。なお、このイベントは宇宙機関や米軍の関係者が多く出席しており、今回もNASA(米航空宇宙局)のチャールズ・ボールデン長官をはじめ、世界各国の宇宙機関高官がステージに登壇した。
ベゾス氏はBlue Originのミッションや将来のビジョン、直近の再利用ロケットの開発動向などを話した。冒頭にはNew Shepardが着陸する動画が流され、会場全体から拍手が沸き起こった。会場には1000人規模のオーディエンスがいたがそうした人たちにとってもBlue Originの取り組みはエポックメイキングな出来事なのだと認識できた。
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