東京産のチョコはいかが? 平塚製菓の面白い試み(2/3 ページ)
2018年、東京で収穫されたカカオを使ったチョコレートが発売されるかもしれない。チョコレートなどのOEMを行っている平塚製菓が、東京都小笠原村の母島で収穫されたカカオを使ってチョコレートの試作に成功したのだ。
試行錯誤の末、カカオ栽培に成功
平塚製菓のプロジェクトメンバーと折田一夫さんは議論を重ね、「大規模な農地を整備しよう」という話になったが、島には農地を整備する重機がなかった。そのため本土から28時間ほどかけて、重機を輸送することに。また、普通のビニールハウスでは風で飛ばされたり、塩害を被ったりしてしまうので、特注のハウスを設置しなければいけない。そのためハウスの資材なども本土から輸送した。こうして、2011年8月にハウスの1号棟が完成。翌年4月に栽培がスタートしたのだ。
「ビニールハウスを建てるのはものすごく大変でした。母島には、大規模な工事を手掛ける建設業者はありません。重機や資材などを輸送することも大変だったのですが、なにからなにまでゼロから始めることが難しかったですね」(入江さん)
カカオの木は年間5000個の花を咲かせるが、そのうち実になるのは50〜70個ほど。ラグビーボールのようなカカオの実「カカオポッド」ができるまでに、どのような苦労があったのだろうか。「雑草が生い茂っている斜面の土地を整地化して、そこにビールハウスを建てました。水はけがよい土地でなければカカオはうまく育たないので、空気を含ませることから始めました」
土の中に空気を入れたり、ビニールハウス内にカーテンを設置して日陰ができるようにしたり、さまざまな試行錯誤の結果、2013年にカカオの実ができた。そして、2015年3月に母島で収穫されたカカオを使ってチョコレートを試作した。「社内からは『本当にチョコ―レートの味がするの?』といった声が多かったですね。でも、ちゃんとチョコレートの味がしたんですよ。『東京ブランドのチョコレートをつくろう』と言ってから、13年もかかりました」(入江さん)
関連記事
- なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。 - お客はチラホラなのに、なぜビアードパパはインドネシアで絶好調なのか
甘い香りに誘われて、ついついビアードパパのシュークリームを買ったことがある人も多いのでは。目の前でクリームを詰める“実演販売スタイル”で店舗数を拡大してきたが、海外でも売れているとか。その理由は……。 - 原料のカカオに何が起きているのか チョコレートが消滅する日
近い将来、チョコレートが消滅するかもしれない――。こんなことを言われても「スーパーやコンビニに行けば、たくさんの商品が並んでいるよ」と思われる人も多いはず。しかし、チョコレートの原料・カカオの生産量が不足しているのだ。 - 競合店ができても、ドトールの売り上げがあっさり元に戻るワケ
コーヒー業界が熾烈な競争を極めている。喫茶店、ファミリーレストラン、コーヒーチェーン、コンビニ、サードウェーブなど、さまざまな業界が参入しているが、そんな中で堅調な売り上げを伸ばしているコーヒーチェーンがある。ドトールだ。 - “ジャンクフードの聖地”で何が起きているのか? 食の浄化に目覚めた米国
米国でナチュラル・オーガニック業界が成長している。2014年のオーガニック食品の売り上げは、過去最高を記録。“ジャンクフードの聖地”ともいえる米国で、いったい何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.