少年少女の模範生・二宮尊徳は世界きっての経済イノベーターだった:歴ドル・小日向えりの「もしあの武将がネットサービスを使ったら……」(1/5 ページ)
最近、「歩きスマホを誘発するから危険だ」という理由で、二宮金次郎の銅像が撤去されているそうです。二宮金次郎(尊徳)といえば薪を背負いながら読書する姿が有名ですが、そもそもどんな人物だったのでしょう?
こんにちは、小日向えりです。
突然ですが、昨年末に三国志ファンをときめかせた出来事をご存じでしょうか?
2015年12月から先月末までに横浜市営地下鉄を利用された方はお気付きになったかもしれませんが、実はあるキャンペーンが展開されていました。
ゲーム会社大手・コーエーテクモゲームスの人気歴史シミュレーション「三國志」がシリーズ30周年を迎えたことで、横浜市とタイアップして市営地下鉄のいくつかの駅に、ゲームに登場する三國志武将のポスターを掲示しました。主な目的は「市営地下鉄利用マナーの向上」です。
ポスターが掲示されるや否や、私はさまざまな駅を回ってその写真を撮ってきました。それをスマホの待ち受け画面にすることが最近のマイブームです。年末の忘年会シーズンには張飛の「酒はほどほどに」のポスターを、今は諸葛亮孔明の「周りに伏兵がおるやもしれません。よもや歩きスマホなどなさいますな」を待ち受けにしています。
皆さんも、駅のホームや横断歩道、歩きスマホで周囲が見えてない人とぶつかりそうになって、イラッとしたことはありませんか? 実際、それによるトラブルや事故は増えています。たとえ伏兵がいなくても、危険ですので歩きスマホは控えましょうね。
歩きスマホといえば、「歩きスマホを誘発するから危険だ」という理由で、二宮金次郎の銅像が小学校などから撤去されているそうです。代わって設置されたのは、座って本を読む金次郎。何だか的外れな気がしますが、そんな状況を揶揄(やゆ)するかのように、歩きスマホをする金次郎がスマホスタンドとなったグッズが登場しています。
地域プロデューサー
二宮金次郎、本名・二宮尊徳はどんな人物なのでしょうか。江戸後期の農政家・思想家として活躍した尊徳の生まれは神奈川・小田原の貧しい農家です。水害で没落した家を再興したのち、諸藩・諸村の復興に尽力。その実績が認められ、最後は幕臣となりました。尊徳は「農業」の観点から地方創生に尽くした、いわば地域プロデューサーと言えるでしょう。
努力を惜しまず勉強し、決して贅沢(ぜいたく)をせず民のために尽くした尊徳は、子どもたちのお手本となる道徳的な印象がありますが、実は、非常に経済感覚の優れた人なのです。彼の名言にこんなものがあります。
「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である」
道徳と同様、経済を大切にしていたことが分かります。実は背負っている「薪」も、単なる家事手伝いのためではなく、尊徳の立派なビジネスの1つなのです。どういうことなのか、詳しくみていきましょう。
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