報道自由度ランキングが「72位」だった、これだけの理由:スピン経済の歩き方(2/4 ページ)
「国境なき記者団」が発表した「報道の自由度ランキング」によると、日本は180カ国中の72位。前年の61位よりもさらにランクダウンした。日本のメディアは自由度がありそうだけれども、なぜ72位なのか。その理由について、筆者の窪田氏が分析したところ……。
特定秘密保護法が諸悪の根源?
いやいや、分かってねーな、安倍政権が特定秘密保護法で言論弾圧していることが大問題なんだよ、という声があちこちからワーワーと聞こえてきそうだが、これもおかしな話だ。
確かに「国境なき記者団」はランキングとともに、「日本のジャーナリストは厳格な法律によって『国家の秘密』の調査を自主規制させられている。『国家の秘密』には第一原発事故や皇室、国防などすべてが含まれる」と発表して、特定秘密保護法が諸悪の根源のようなもの言いをしている。
が、よく指摘されることだが、この種の法律は世界中のどこにもある。だから、「国境なき記者団」自身も欧州や米国の法規制はたいして問題視していないのだ。
例えば、スウェーデンなんか分かりやすい。かの国では1969年に、プレスオンブズマンという報道被害を受け付け、調査やメディアとの協議をする監視員制度をいち早く設けるなど「ジャーナリズム」に対する意識高い系の先駆けだ。また、公務員でも「公共の利益」が大きければメディアにリークをすることが認められているなど、世界でもトップレベルの「報道の自由」が確保されている。
当然、「国境なき記者団」のランキングでも上位の常連。2009年にはなんと世界一の栄冠に輝いているのだが、実はこの年、秘密保護法が制定されている。公益性にかなう内部告発を認めつつも、国家の安全保障などに反する情報漏えいは許されなくなったのだ。
いくら世界屈指の「自由」を誇る国とはいえ、「国境なき記者団」の日本へ向けたロジックにあてはめれば、20位くらいは評価を下げてもおかしくない。
しかし、蓋(ふた)を開けてみると翌2010年のランキングは9位とたいして変わらぬ評価だった。
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