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なぜ舛添都知事の説明は響かないのか(3/4 ページ)

毎週公費での湯河原別荘送迎などへの強い批判を受け、舛添都知事本人が釈明しました。しかしそれは効果があったでしょうか?

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ロジックの弱点

 ロジックの弱点はここです。説得とロジックは直結しないのです。イメージが現実に大きく投票行動に反映されるように、ロジックによる説明で一般有権者や一般視聴者が納得するのはきわめて難しいと言えるでしょう。

 舛添氏の釈明で、批判を完璧にディフェンスできたとしても、怒りや反発という一般の人々を相手にする以上、そのネガティブなイメージを払拭することはできません。必要なことは説明という情報提供ではなく、説得なのです。ロジカルにすべてを説明できたところで消せないネガティブ感情は、次はSTAP細胞論文事件のときのように、総がかりで次のあら探しが始まります。

 人間の感情は正しい/間違っているだけでは決まりません。ディベートはロジックとロジックを戦わせる競技だと理解したのですが、このことはコミュニケーションのあり方を正しく説明していると思います。つまりディベートで勝つことはロジカルに正しいことです。しかしロジカルに正しいから人間は説得されるのではないという点。コミュニケーションは目的達成の道具であり、正しいか間違っているかと説得は必ずしも一致しないということです。

 私は大学でロジカルシンキングやロジカルコミュニケーションも教える講座をやっているので、ロジックやディベートを否定するものでは一切ありません。しかしそれがコミュニケーションのすべてだという誤解は絶対に解く必要があります。ロジックは万能ではありません。

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