コラム
なぜ舛添都知事の説明は響かないのか(4/4 ページ)
毎週公費での湯河原別荘送迎などへの強い批判を受け、舛添都知事本人が釈明しました。しかしそれは効果があったでしょうか?
感情という怪物
舛添氏はまた「都知事はトップリーダー」という表現からも、傲慢な印象を与えてしまいました。実際世界の国家レベルと比較してもその経済規模や予算規模と大統領的権限、そしてもちろん人口規模などからいっても先進国1ヵ国並みの存在である東京都の知事はまぎれもないトップリーダーだと思います。
しかしそれを自ら言ってしまったことが最大のコミュニケーション上のミスでしょう。自ら口にするのではなく、視聴者や都民がそう「感じる」ことこそが、コミュニケーションの目的だったのです。正しい説明を提示した結果、理解はしても納得できないという感情面での説得に失敗したのです。
今回テレビ出演を見ていて、さすがに事態の収拾を懸念されたようで、「申し訳ない」という言葉を使われていました。それでも結局のところ、舛添氏の主張は本質として変わるものとは感じられませんでした。あくまで自らの行動の正しさを訴えただけで、ロジカルではあっても感情を突き動かす説得にはなっていませんでした。
この出演によって説得された人はいるのでしょうか? コミュニケーションには目的とともに「相手」がいます。その相手の感情を全く酌めなかった説明は、正にエリート・コミュニケーションの典型的な落とし穴に落ちたものだったといえるでしょう。(増沢隆太)
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