三菱自動車の日産傘下入りが「シナリオ通り」に見えてしまう3つの理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
燃費不正問題で揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下になることが決まった。燃費不正発覚から資本提携までの流れは、日産側が三菱自を手中に収めるための「シナリオ」ではなかったのか、という指摘もあるが……。
ゴーン氏と益子氏の蜜月関係
すったもんだがあったが結局、2015年10月の基本合意では引き続き水島製作所で行うこととなった。その一方で、「設計開発、実験など実際の開発業務については、今後、日産自動車もより深くかかわる」(プレスリリースより)という方針が強調されるなど、「開発」は日産主導だと印象づけた。
そんなパワーゲームの最中、渦中の軽自動車で相手の「不正」を見つける。これを「主導権争い」に利用しようというのは、ごく自然な流れだ。ましてや、日産はゴーン社長以下、経営幹部が外国人というほぼ外資。「敵失」をただ指をくわえて見ているような、のんびりとしたカルチャーなのか、という疑問も浮かぶ。
ただ、そんな状況証拠だけで「陰謀論」が囁(ささや)かれているわけではない。やはり、大きいのは2つ目の理由だ。それは「ゴーン氏と益子氏の蜜月関係」だ。
今回の資本提携を公表した共同記者会見で、益子会長は資本提携協議が始まった時期について、日産と軽自動車を共同開発をスタートさせた2011年が「非常に大きなきっかけになった」と述べた。
しかし、おっしゃるように「軽自動車」から協議が始まったというのなら2011年どころの話ではない。覚えている人も少ないだろうが、2004年の二度目のリコール隠しが発覚したとき、実は三菱グループ以外に真っ先に手を差し伸べたのが日産だった。
経営再建策には盛り込まれなかったが、水島製作所の軽自動車部門を切り離し、日産との共同出資会社に譲渡する案があった。つまり、両社の軽自動車の共同開発をめぐる「協議」は2004年から行なわれていたのだ。
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