舛添知事の“お金”の使い方に、なぜ不満を感じるのか:世界を読み解くニュース・サロン(5/6 ページ)
舛添都知事が政治資金の使い方をめぐって揺れている。海外出張にかなりの費用をかけているが、海外から見ても法外なのだろうか。実は米国でも州知事が海外へ出張して、ちょこちょこ問題になっているのだ。だが……。
東京にとって何の意味があるのか
成果を自分で喧伝するのはみっともない、と言わんばかりであるが、有権者は知事が海外で東京都のために何をしてきて、何の恩恵を与えてくれるのかを知る権利がある。舛添知事の個人的な体面など、彼以外は誰も気にしていない。
当然これではまったく答えになっていないため、別の記者が改めて成果について聞くと、舛添知事はこう答えている。
ニューヨーク証券取引所で開会のベルを鳴らしました。あれはただ遊びでベルを鳴らしているわけではありません。そこに東京が招かれて、私が東京の代表としてその場でベルを押していいということは、ニューヨーク証券取引所というのは世界一ですから、これが東京の地位をきちんと認めてくれたということです。それで、アメリカ全部のニュースに流れるわけです。アメリカ人に会うと、「さっき、あなた、ベル鳴らしたそうだね」と、こう言ってくれるわけです。後ろに日の丸の国旗が掲げられます。全米に東京のプレゼンスをそこでぴっしりやるということは、先程来言っているように、シンガポールに負けているわけです。ニューヨークがそれを挽回していくきっかけになったので、長期的に見れば。
このコメントも、突っ込みどころだらけだ。東京都知事が訪米しても「アメリカ全部のニュース」に流れることはないし、実際のところ米国ではまったく報じられていない。また全米に「東京のプレゼンス」を「ぴっしり」できていないだけでなく、皮肉なことに高額出張や家族旅行の経費計上については英字メディアでもかなり報じられていることから、「東京のプレゼンス」にマイナスの影響を与えている。
またシンガポールに負けている状況がなぜニューヨーク証券取引所(NYSE)のベルを鳴らすことで「挽回」できたのか。そもそもNYSEが「東京の地位をきちんと認める」というのは東京にとって何の意味があるのだろうか。
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