“不毛時代”続いたカルビー「フルグラ」がなぜ急激に売れ出したのか?:製造ライン増強で年間500億円目指す(1/3 ページ)
カルビーが8期連続で過去最高益更新と絶好調だ。その業績を支える柱の1つがシリアル食品「フルグラ」である。この数年間で急成長を遂げており、2018年度ごろには500億円の年間売り上げを見込む。しかし以前は低迷期が長らく続いていた商品なのだ。
「8期連続で過去最高益更新」――。大手食品メーカーのカルビーが快進撃を続けている。
同社が今月半ばに発表した2016年3月期の連結決算は、営業利益が前期比16.3%増の281億2500万円、営業利益率は同5ポイント増の11.4%に達した。売上高は同10.8%増の2461億2900万円と、こちらも過去最高を記録した。2017年3月期の営業利益は初の300億円台となる、同13.0%増の310億円を見込む。
この絶好調の原動力となっているのが、シリアル食品「フルグラ」だ。フルグラとは、オーツ麦、ライ麦、玄米、ココナッツといった原料を細かくし、シロップなどを混ぜ合わせてオーブンで焼いたグラノーラにドライフルーツを加えたもの。このフルグラの売上高が過去7年間で目を見張るような急成長を遂げており、2010年度に約31億円だったのが、2015年度には約221億円となった。さらに2018〜2019年度には現在の倍以上となる500億円を目指すという。
その足固めとしてカルビーは今年4月、70億円を投じてフルグラの生産拠点である清原工場(栃木県宇都宮市)に2つの製造ラインを新設。生産能力を従来の1.7倍に増強した。「この2〜3年はフルグラを作っても足りない時期が続いた。よく小売や卸から叱られ、工場に無理を言って製造してもらっていた」と同社の松本晃会長兼CEOは語る。
昨今のシリアル市場のにぎわいを見る限り、カルビーがグラノーラ商品を手掛けるようになったのは最近のことのように思うかもしれない。実は同社は1988年8月にシリアル事業に参入し、1991年3月から「フルーツグラノーラ」(2011年2月、現在のフルグラに名称変更)を販売しているのだ。これが鳴かず飛ばずで、2002年〜2009年ごろは年間売上高が30億円ほどの横ばい状態が続いていた。「売れないから、ますます営業も売りたがらなくなっていた」と松本会長は振り返る。
では、一転してなぜこれほどまでにフルグラが売れるようになったのだろうか。それはカルビーの巧みな市場作りと、シリアル食品に対する消費者の価値観を変えさせる取り組みにあった。
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