“不毛時代”続いたカルビー「フルグラ」がなぜ急激に売れ出したのか?:製造ライン増強で年間500億円目指す(3/3 ページ)
カルビーが8期連続で過去最高益更新と絶好調だ。その業績を支える柱の1つがシリアル食品「フルグラ」である。この数年間で急成長を遂げており、2018年度ごろには500億円の年間売り上げを見込む。しかし以前は低迷期が長らく続いていた商品なのだ。
定番商品を作り出せ!
フルグラは2018〜2019年度に500億円の売り上げ目標を掲げている。どのように達成を目指すのか。
1つは新規顧客の開拓だ。フルグラは以前から働く女性をメインターゲットとしているが、今後の売り上げ拡大に向けてシニア層の取り込みも強化していく。
「手間をかけずに食物繊維などの栄養素が容易に取れて、塩分は控えめなので、シニア層からもニーズは高いはず。しかし、まだまだ商品の認知が低いのが課題」と藤原氏は話す。例えば、医師など専門家のサポートを得ながら栄養価の高さをアピールなど、認知度を上げるための草の根的な活動を進めていく。
もう1つは、商品ラインアップの拡充だ。現在、フルグラ全体の売り上げに占めるスタンダード商品の割合が高く、それ以外の商品との差が大きい。「当社のポテトチップスの『うすしお』『のりしお』『コンソメ』のトリオのような、強い定番商品を作っていく必要がある」と藤原氏は強調する。
加えて、大容量サイズの販売も伸ばしていく。新設した製造ラインも主に大容量サイズ向けだ。一度に食べ切ることができない大容量サイズが売れるには、毎日食べても飽きない商品ブランドにすることが必須である。
「『かっぱえびせん』のように、やめられずに最後まで食べてしまう。明日も、明後日も食べたくなるような商品をいかに作れるかが大切。現においしさや食感には自信があるので、その価値をもっと消費者に理解してもらえるようなマーケティングに力を入れていく」と藤原氏は意気込んだ。
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