発売3年で売上2.5倍! アイス「パキシエル」の開発秘話を聞いてきた:水曜インタビュー劇場(パキッ公演)(4/6 ページ)
マルチパックのアイス「パキシエル」の売り上げが好調だ。発売してから3年で、2.5倍に拡大。「超激戦」とも言われているアイス市場で、なぜパキシエルは売れているのか。森永製菓の開発担当者に話を聞いた。
先端部分のチョコが「7ミリ」の理由
土肥: 次に、パキシエルの特徴について話を聞かせてください。先端部分は7ミリもありますが、なぜ7ミリなのですか?
森永: 「板チョコアイスのような食感を楽しめる商品」を開発するために、一口目のインパクトにこだわりました。5ミリ以下でつくってみたところ、食感が頼りなくて……。またアイスも一緒に口の中に入るので、どうしてもインパクトに欠けてしまう。9ミリ以上でつくってみたところ、分厚いので食感がゴリゴリしてしまう。特に女性は噛むときに苦労していました。またチョコが多くなるので、チョコの塊を食べているような感じがするんです。
1ミリ単位で試作したところ、インパクトがあって、バランスがとれた厚みは、7ミリでした。ちなみに、12ミリのモノをつくったところ、若い男性でも噛み切ることができませんでした。次に、二口目からはチョコとアイスがうまく絡み合ういいバランスになるように、チョコの厚みを2〜3ミリにしました。
土肥: 先端部分のチョコの厚さは7ミリ、二口目の部分は2〜3ミリということですが、どうやってそれをつくるのですか? 先ほどの話に戻ると、型の中にチョコを流し込むわけですよね。そして、ノズルで溶けていないチョコを吸い出すと、先端7ミリ、そのほかが2〜3ミリになるなんて……まるで手品のよう。
森永: 吸引するタイミングとスピードが大きく関係しています。簡単にいえば、二口目の部分は素早く吸引して、先端の7ミリの部分は時間をかけて吸引する。つまり、先端部分は型の中に長く浸かっているといった感じですね。
土肥: そういうことができるのは、学生時代の勉強でいうと「数学力」が必要になってくるのでしょうか?
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