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寝台特急「北斗星」の食堂車が授かった新たな使命杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)

2015年3月に運行を終了した寝台特急「北斗星」。その食堂車が埼玉県川口市に移設され、レストランとして開業した。鉄道ファンのオーナー社長が趣味で始めた……と思ったら違った。その背景には高齢化社会と地域貢献に対する真摯(しんし)な思いが込められている。

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 創業17年のピュアホームズは、主に地域密着高齢者向け事業を展開してきた。飲食店経営をきっかけとして、高齢者だけでなく、障害者も含めた、すべての人々にとって住みよい街づくりを目指したいという。ジャムについても、今後は就労支援で製造していきたいそうだ。「食堂車レストランの会社です」というキャッチフレーズは、同社にとって大きなメリットになるだろう。同様に東川口周辺地域も「食堂車レストランのまち」として知名度を上げていけるかもしれない。

こちらは1000円で販売している「CN POINTカード」。グランシャリオ専用デザインは先着100名限定。運営はクラブネッツ。加盟店で買い物をするとポイントが貯まる。TポイントやJALのマイルなどと連携している
こちらは1000円で販売している「CN POINTカード」。グランシャリオ専用デザインは先着100名限定。運営はクラブネッツ。加盟店で買い物をするとポイントが貯まる。TポイントやJALのマイルなどと連携している

 鉄道車両の商用転用は、決して良いことばかりではない。維持運用面で建物よりも難しい。かつて全国の観光地にあったSLホテルは全滅のようだし、鹿児島県の阿久根市で開業した寝台特急車両の宿泊施設「ブルートレイン阿久根」も閉鎖されてしまった。

 グランシャリオは「乗客」から飲食代金のほかに車両維持費として500円をいただいている。これはテーブルチャージと思えばいいし、引き替えに渡される「乗車券」は記念になる。

 スシ24 504に、鉄道車両の保存と商用利用の成功事例、そして地域のランドマークとして、新たな使命が与えられた。末永く、そしてより多くの人々の心に残る存在であってほしい。

食事を楽しんだ日は満月だった
食事を楽しんだ日は満月だった
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