なぜ仕事のミスは起こるのか?(4/4 ページ)
そんな仕事のミスはなぜ起こるのでしょうか? ISO9001やISO14001が考える、仕事のミスを起こさない方法を教えます。
正しい情報をインプットしているか?
正しい情報をインプットするとは具体的にどういう状態でしょうか? 私の今日のミスにアプローチしてみると、「メモを裏紙に赤ペンで走り書きした」ことからすべてが始まりました。この赤ペンで走り書きした情報をもとに、仕事を始めたのです。
つまり、「正しい情報かどうかを判別しづらい手書きのメモがインプットになった」ということが原因ということです。もしこれを、いつみても、誰が見ても分かるようにメモをとっていたら、おそらく情報は正確にインプットされていたでしょう。仕事のミスはなかったかもしれません。このように、仕事のミスは正しい情報をインプットすることで予防できるということをISOは教えてくれています。
私がこれまで、現場のコンサルティングを通してよく見かけてきた「インプットが正確ではなかった」という事例をいくつか挙げてみます。
ある板金加工業では、お客さまから図面がFAXで送られてきており、図に表記されているサイズの文字が小さく判別しづらかったのです。ミスが多かったのでいろいろ工夫していたのですが、インプットの正確さを確保するため、図面の文字を見やすくしようと大きな文字で、しかも赤書きで書き直しするようにしたところ、ミスは少し減りました。
あるリフォーム業者は、お客さまの現場でヒアリングや現場調査したメモをそのまま社内の設計部門に渡していました。茶色と書かれた色の矢印が壁にでていると判断した作業者は壁を茶色でお客さまへの完成イメージ図を作ってしまいました。実際には壁ではなく床への矢印だったそうです。よく聞くと昔からこういうミスが多かったということだったので、ヒアリングシートの様式を作り、壁の色、床の色などを書く欄を用意したところ、仕事のミスは減りました。
そして、実は当社でも、これまではお客さまとの打ち合わせメモをもとに社内の作業担当者が文書作成の作業を行っていました。ここには漏れている情報がどうしても発生していたようです。そこで、インプット表をつくり、作業前にこれを正確にまとめていくようにしました。当然ですが、これを用意しただけで、仕事のミスは何%かは軽減される結果になっています。
仕事のミスは、正しい情報がインプットされていないからなのです。あなたが仕事をする前の情報を正確な情報をインプットすることを意識し、そういうルールを作っていきましょう。(古江一樹)
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