少子高齢化もなんのその 島村楽器の業績が好調なワケ:水曜インタビュー劇場(楽器公演)(4/7 ページ)
少子高齢化なので、島村楽器の業績は厳しいだろうなあ……と思っていたら、店舗数・売上高ともに右肩上がり。好調な理由を聞いたところ、客商売の基本を徹底していることが分かってきた。
音楽を楽しむ人をひとりでも多くつくる
伊地: 繰り返しになりますが、10万円のギターを売って、「はい、おしまい」ではありません。音楽をもっともっと楽しんでもらいたいので、「イベントに参加しませんか?」「セミナーはどうですか?」とお誘いさせていただきます。
土肥: なるほど。「島村楽器め、高いギターを買わせやがって」と思わせるのではなくて、「予算オーバーの高いギターを買ったけれども、いい音がする。そのギターを使って、これまでにない経験をすることができた」と満足度を高めていくことがポイントだと。
伊地: 楽器って、買っただけではうまく弾けないんですよね。例えば、ギター初心者にとって「Fコード」は難しい。この技術を身に付けることができなかったので、「やめちゃった」という人も多い。でも、私たちとしては、そうした人を生み出したくありません。「音楽を楽しむ人をひとりでも多くつくる」ことを経営理念として掲げているので、音楽を始めた人には、とことん楽しんでいただきたい。というわけで、お客さまに楽器を売ることよりも、その人が楽器を楽しんでもらう仕組みを考える――これが私たちの仕事かなあと。
土肥: ふむ。具体的にどんなことをされているのですか?
伊地: バンドコンテストをやったり、コンクールをやったり、コンサートをやったり。全国規模で開催しているものもあれば、店単位で開催しているものもあります。店単位でいえば、おやじバンドだけのイベントだったり、アコースティックだけのイベントだったり。楽器のジャンルだけでなく、年代別でも開催していますね。全国の店舗でさまざまな企画を催しているので、本部も把握できないほど。誰かのTwitterで、初めて「こんなことをしていたのかあ」と知るケースもあります。
土肥: 島村楽器の店舗は全国にある。金融機関で例えると、会社の規模はメガバンクなのですが、店は信用金庫のように地域密着で動いている。
伊地: 地域にはとことん密着するようにしています。例えば、当社は基本的にCDを販売していません。ただ、その地域で活躍されているミュージシャンのCDは扱っています。市場で流通されていないCDを委託販売という形で。なぜこんなことをしているかというと、「地元のミュージシャンを応援しよう」という気持ちがあるからなんですよ。
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