だからいまも「現役」! 49歳のカズが教えてくれた人生のヒント:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
サッカーJ2横浜FCのFW三浦知良が、自身の持つJ2最年長ゴール記録を49歳3カ月24日に更新した。「スゴすぎる」という言葉しか浮かんでこないが、私たちの知らない世界でカズはどのような努力をしているのだろうか。彼の姿から何か学べることがあるのかもしれない。
悔しいことは人生の糧になる
日常生活においても食生活の栄養アドバイザーをつけ、摂取した食事の写真を毎食撮って送信し、助言をもらう。栄養面やカロリー摂取に関して専門家の意見を必ず聞き入れ、常にコンディション維持に務めている。だからこそ、この年齢にして体脂肪率は何と平均10%前後をキープ。
よくよく考えてみれば、そんなスーパーストイックな生活を送っているサッカー界のレジェンドが「苦しい」と思うはずがなかった。前のこととはいえ、今となっては単刀直入にバカげた質問をしてしまった自分のことが恥ずかしくも思っている。
1998年6月10日から7月12日まで行われたフランス・ワールドカップ(W杯)。この直前、同年5月末から6月上旬まで行われた日本代表メンバーのスイス・ニヨンでの直前合宿に参加していたカズ本人を初めて取材する機会に恵まれた。この合宿終盤の同年6月2日、当時の岡田武史監督がW杯開幕直前に本戦登録メンバーから外れる3人の名前を発表。同監督が発した「外れるのはカズ、三浦カズ」の言葉を耳にした瞬間、メモを取っていた手が震え出したことを今でも時々思い出す。
15歳からブラジルへ単身サッカー留学。異国の地で苦労を重ね、それを乗り越えて名門サントスFCで認められるプレーヤーになったのも心の奥底にいつしか日の丸を背負い、W杯出場の目標があったからこそだった。そのW杯出場の夢が寸前で潰えたショックの大きさは当の本人にしか分からないが、計り知れないものであったに決まっている。
その4年前にもカズはオフト・ジャパンのエースとしてアメリカW杯出場をほぼ手中に収めながら、あのイラク戦の“ドーハの悲劇”によって涙を飲んでいた。あの18年前の6月2日、取材する立場を忘れて「サッカーの神様は何て非情なんだ」と何度となく叫びながらニヨンの地で、他のメディア仲間たちとともにヤケ酒を飲んだのも思い出だ。
しかしカズは、この“衝撃”からすぐに再起した。金髪姿で帰国すると会見で「気持ちの切り替えはできている」「まだやり残していることがある」などと力強く口にした。その後の京都パープルサンガ時代、取材したカズ本人から「いずれの機会も同じだが、自分が悔しいと思った出来事に納得はできない。でも、悔しいことは人生の糧になる。その悔しさを乗り越えることで人間は強くなる。今まで何度もあったことだが、それもまた運命と思って自分は受け入れ、全部クリアして来たんだよ」と重く説得力のある言葉を聞いたこともある。
関連記事
- 何が起きていたのか? 清原和博容疑者が古巣・巨人を「震撼」させていた
元プロ野球選手・清原和博容疑者が覚醒剤所持容疑で逮捕されたが、その衝撃はいまだ沈静化していない。新たな疑惑がたくさん浮上してきているからだ。その中の1つ……。 - イチローが「日本人のアイデンティティー」にこだわる理由
マーリンズのイチロー外野手が「日米通算」でピート・ローズ氏の持つ歴代最多安打4256本の記録を塗り替えようとしている。2001年から大リーグでプレーし、数々の記録を塗り替えてきたイチローのモチベーションはどこにあるのか。 - 野球評論家の張本勲氏は、なぜ失言を繰り返すのか
人気情報番組『サンデーモーニング』に出演している野球評論家・張本勲氏のコメントが、ネット上でしばしば“炎上”する。現役時代の張本氏は偉大な選手だったのに、なぜ失言を繰り返すのか。スポーツライターの臼北氏が分析したところ……。 - 日本ハムが“ハンカチ王子”を「クビ」にしない理由
“ハンカチ王子”として一躍有名になった日本ハムの斎藤佑樹投手も今季でプロ6年目。もういい加減、一軍で活躍しないと「解雇」の二文字もチラついてきそうだが、球団はどのように考えているのだろうか。 - 重くなったのに、なぜ軽く感じるのか 売り子が背負うビールサーバー
野球場などでキャストと呼ばれている“売り子”が生ビールを販売している。彼女たちが背負っているサーバーは重いので、アサヒビールとデサントは共同で新しいモノを開発。さざかし「軽く」なったんだろうと思っていたら、実は「重く」なっていた。えっ、どうして……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.