コンビニ本部の「天気予報データいじくり説」は本当か:コンビニ探偵! 調査報告書(2/4 ページ)
夏が近づくと、コンビニのオーナーや店長は毎年のように頭を悩ます。というのは、季節商品である「冷やし麺」の発注は通常の弁当やおにぎりを発注するのとは少々勝手が違うからだ。今回は、冷やし麺発注の舞台裏を紹介しよう。
繰り返される「廃棄ロス」との闘い
コンビニの発注から納品までのサイクルが短くなってきたという話は、以前の記事「えっ、完売したらいけない? コンビニの物流がスゴくなった理由」で説明したが、今回はさらに詳しく説明しよう。
発注のルールとして、冷やし麺などの食事系カテゴリーは納品前日の朝までにオーダーを完了しなくてはならない。しかし、食事系カテゴリーだけでなく総菜やデザートなどの商品群も同じ時間でオーダーする必要があるので、すべてを朝一番で考えて発注するわけにはいかない。
そのため、前々日までにおおよその発注計画を立てておき、前日の締め切り時間ギリギリに天気予報を再度確認して微調整を加えるという流れだ。弁当やおにぎりの販売期間は1日だが、冷やし麺の販売期間は1日半から2日間の設定なので、それよりは廃棄リスクを減らすことができる。
ここで、2つの事例を紹介しよう。下の表をご覧いただきたい。
事例1は、天気予報のデータとオーナー店長の読みが当たって発注がうまくいったパターン。事例2は、天気予報がズレて後に修正を加えたパターンだが、これが問題だ。
店としては廃棄リスクを回避できたので「よかった、よかった」と思っているのだが、本部はおかんむりである。「気温が上がった3日目に発注が足りずに売り逃している」としか見えないのだ。
本部: 発注が足りない、チャンスロスが発生している。在庫があればもっと売れたんじゃないのか?
オーナー店長: いや、在庫があるから大丈夫だ。問題ない。
夏の間、こんなやり取りがコンビニ本部と店の間で続く。確かに、在庫があれば販売数は多少伸びるかもしれないが、あればあるだけ売れるというわけでもない。あの手この手で注文数を増やそうという、本部の魂胆が見え見えなのだ。
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