フマキラーの蚊取り線香が、なぜインドネシアで売れたのか:水曜インタビュー劇場(蚊公演)(4/7 ページ)
フマキラーの海外展開が絶好調だ。アジアや中南米を中心に進出しているが、売り上げはインドネシアがトップ。1990年に進出してから7年間も赤字が続いていたのに、なぜトップブランドに成長することができたのか。
8年目に黒字
土肥: 消費者に支持されない、もう1つの理由を教えていただけますか?
山下: 現地の人に試供品を配りながら、同時に販売店に商品を置いてもらえるように活動を続けました。「ワルン」という小売店をご存じでしょうか? 国内に230万店ほどあって、このワルンで蚊取り線香が販売されています。しかし、狭いスペースなので、たくさんのブランドを置くことができないんですよね。「海外メーカーまたは現地メーカーのモノを販売しているので、フマキラーはちょっと……」という声がたくさんありました。
土肥: 価格は高いので、なかなか手にとってもらえない。使い慣れた商品からなかなか変更してもらえない。ワルンは狭いスペースなので、なかなか置いてもらえない。「なかなか」が3つもあれば、なかなか売り上げが伸びなかったのではないでしょうか?
山下: はい、かなり苦戦しました。どこから手をつけていいのか分からなかったのですが、オートバイセールスにチカラを入れました。オートバイの後ろに蚊取り線香を積んで、ワルンを一軒一軒回ってセールス活動をしていました。それでもなかなか売り上げは伸びませんでした。そこでどうしたか。インドネシアで商品を生産して、海外に輸出していたんですよね。国内マーケットを開拓する一方で、日銭を稼ぐために輸出をしていた。輸出で稼いだお金で、国内マーケットを開拓していました。
試供品を配りながら、ワルンに営業活動を続ける。そうした地道な活動をしていると、少しずつ売れ始めました。
土肥: 「フマキラーのVAPEを使うほうが、蚊がよく死ぬぞ」といった口コミで広がっていった?
山下: はい。そうすると、競合他社も薬剤を増やしてきて、価格を上げてきたんですよね。インドネシアに進出して3〜4年が経ったころには、価格はほぼ同じになりました。その後、売り上げがジワジワと伸びまして。7年間も赤字が続いていたのですが、8年目にしてようやく黒字になりました。
土肥: 7年間も! よく我慢されましたね。
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