フマキラーの蚊取り線香が、なぜインドネシアで売れたのか:水曜インタビュー劇場(蚊公演)(6/7 ページ)
フマキラーの海外展開が絶好調だ。アジアや中南米を中心に進出しているが、売り上げはインドネシアがトップ。1990年に進出してから7年間も赤字が続いていたのに、なぜトップブランドに成長することができたのか。
蚊取り線香の売り上げを伸ばす“特効薬”
山下: 他社の商品は、蚊が死ぬのに1時間以上かかるのに、当社のモノは10分以内に50%以上がノックダウンする。
土肥: 1時間で落ちるのと、10分で落ちるのとどういう違いがあるのでしょうか? 時間がかかっても死ぬのであれば、どちらもでいいような。
山下: いえ、最大の目的は蚊に刺されないこと。刺されないようにするには、蚊をできるだけ早く弱らせることが大切なんですよね。
土肥: 競合他社よりも“いいモノ”を発売することになった。そうすると、口コミで広がって商品が売れるようになった?
山下: いえ、徐々にですね。試供品を配って、ワルンに営業をして……。地道な活動を続けた結果、2008年のシェアは約18%だったのですが、現在は40%ほどになりました。新しい蚊取り線香を使えば蚊が寄って来ない……ということを体感された人が増えていって、リピーターもどんどん増えていきました。
ただ、インドネシアで最も人口が多いジャワ島の売り上げはまだまだ。7〜8年前のシェアは2%前後だったのですが、いまでは10%ほど。現地メーカーのシェアが高くて、現在は3番手。このままではいけないということで、現地スタッフによるセールスチームを結成して、売り上げアップに取り組んでいます。
土肥: 蚊取り線香の売り上げを伸ばすのに、“特効薬”のようなモノはないのでしょうか? 例えば、最先端のマーケティング活動をして、シェアをグングン伸ばしていくとか。
山下: ないですね(きっぱり)。“特効薬”があれば、ぜひ教えていただきたい(笑)。今後も試供品を配って、ワルンへの営業活動を続けるしかありません。
土肥: インドネシア中の蚊を捕まえて、蚊取り線香の効果を分析されたわけですが、他の国の蚊はどうなんでしょう? 日本の蚊よりも薬への耐性は強いのでしょうか?
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