仕事は“コピー取り”でも、なぜあの人は「次のチャンス」を手にするのか:新連載・結果を出す“下ごしらえ”(4/5 ページ)
上司から残業を命じられて、昨日は終電で帰ったのに「この書類じゃダメだ。やり直し!」といった経験をしたことがある人もいるのでは。言われた通りにやっているはずなのに、なぜかなかなかOKがでない。こうした人はどこに問題があるのか。
コミュニケーションで重要なのは「聞く力」
仕事の依頼者である先輩に聞くことで、自分なりの工夫を生み出していたのだ。そんな彼を先輩たちはよく見ていた。コピー機に並ぶ同期から真っ先に抜け出したのが彼だった。「こいつはちゃんと聞いて、自分で判断できる」という評価を受けたからだろう。信頼を得て、次のチャンスを手に入れることができたのである。
ちゃんと上司や先輩が、目的を教えてくれなかったから、は言い訳にはならない。目的を理解する、とはつまり、仕事の依頼者にその仕事の意味をしっかり聞くことができるかどうか、が重要になる。
コミュニケーション力というと、しゃべる力や伝える力が浮かぶが、実はインタビューを仕事にしている私は、むしろ重要なのは「聞く力」なのではないかと常々、思っている。実際、聞くことによってしか、相手が求めていることは分からないのである。
聞くということが、いかに大事か。こんなエピソードを取材で聞いた。ある人はテニスが趣味でテニスコートの付いたリゾート施設の会員権に興味を持っていた。そこで、全国にリゾート施設を持つ会社に連絡を取り、営業マンに来てもらうことにした。
営業マンはやって来るなり、自分たちのリゾート施設がいかに素晴らしいか、全国に展開していていろんなニーズに応えることができ、ゴルフやスキーなど、さまざまなスポーツも楽しめることを力説した。
しかし、ある人が求めていたのは、テニスの楽しめる施設だったのである。全国展開していようが、スキーが楽しめようが、そんなことは興味の対象ではなかった。
ところが営業マンは一言も「あなたが求めておられる施設はどのようなところでしょうか?」とは聞いてくれなかったのだ。
結局、さっさと営業マンにお引き取り願い、そのリゾート施設との関わりは断ってしまった。営業マンは大きなチャンスを失ってしまった。
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