英国で“爆買い”が増える? 外国人がたくさんやって来るかもしれない:世界を読み解くニュース・サロン(3/3 ページ)
EUの離脱をめぐって、英国が混乱している。しばらくゴタゴタは続きそうだが、そんな中でも盛り上がりの兆候を見せている分野がある。その分野とは……。
中長期的には不透明
一方で、インバウンドの盛り上がりは短期的なものになるとする向きもある。英国のEU離脱が確定すれば、英国で新たな税金が導入されたり、さまざまな新しい費用が徴収されたりすることも考えられる。またこれまでよりも英国に乗り入れる旅客機の数などが減るとの予測もあり、そうなれば運賃が上がる可能性もある。長期的に見れば旅行コストが今以上に高くなると見る向きもある。
ただブレグジットにより中長期的にインバウンドが増加するかどうかを見極めるのは、時期尚早かもしれない。とにかく、まだ英国が正式にEUに対して離脱を通知していない今、そして、EUへの通知から始まる2年間の交渉期間に、ポンド安を狙って英国を訪問すれば旅行者にはお得感があるかもしれない。
ところで根本的な問題として、英国は観光地としては魅力的な国なのかということがある。英国観光局は「#OMGB」というソーシャルメディア・キャンペーンを展開している(参照リンク)。クリエイティブでインバウンドを取り込みたい意気込みが感じられる取り組みである。
今年の夏休みは、ブレグジット・ブームに乗ってみるというのも一案かもしれない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
関連記事
- 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……? - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。 - フランスで「食品廃棄禁止法」が成立、日本でも導入すべき意外な理由
フランスで「賞味期限切れ食品」の廃棄を禁止する法律が成立した。世界で類を見ない画期的な法律であると世界各地のメディアで取り上げられ話題になっている。課題もたくさんあるが、フランスのこの取り組みは日本でも参考になるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.