阪神・金本監督のスパルタ式は、やっぱり時代錯誤なのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
阪神・金本監督の指導をめぐって、非難の声があがっている。一般的に「5回100球」が交代のメドとされているのに、エースの藤浪投手に161球も投げさせたのだ。監督の「懲罰登板」が大きな波紋を呼んでいるが、断行しなければいけない理由があったのではないだろうか。
スパルタ指導は時代と逆行しているが……
前出のOBはさらに続け、こうも口にする。
「アイツは広島に入団したころは箸にも棒にも引っかからないヤツで、戦力として使えるかどうかも微妙なプレーヤーだった。ところが毎日のように罵倒され、シゴかれながらも猛烈な努力によって大化けし、ついには日本球界を代表するトップ選手にまで上り詰めた。
そういう背景があるから強い覚悟を持って練習に励み、試合に臨めば結果は必ず付いてくるという信念がカネの心の中にはある。鉄拳制裁などの根性野球が受け入れられない世の中になった今、あえて許容できるかできないかの限界ギリギリの指導法で『超変革』に励んでいるのも、かつて自分が大きく成長した“スパルタ指導”が礎となっている」
しかしながら、この金本流のスパルタ指導は時代と逆行しているのも明らかな事実。鉄拳制裁はもちろんのこと、カミナリを落とされたり、シゴかれたりすることに不慣れな今の選手たちから猛反発を食らい、ひいてはチームが空中分解に追い込まれる危険性も決してゼロではない。
それでも球団及び親会社の幹部たちが金本監督に指揮系統の全てをまかせっ切りにしているのは、現状の阪神に足りない“何か”をきっと植え付けてくれるであろうという思いが根底にあるからに他ならない。金本知憲という男を監督として迎え入れたのは、どうしようもない状態にまで没落してしまったチームを再建させるためのイチかバチかの賭けであり、いわば「劇薬」の投入なのである。
思い起こせば奇しくも今年開幕前の沖縄・宜野座キャンプで金本監督は筆者に対し、こう悲壮な決意を漏らしていた。
「必ずや強いタイガースを復活させますよ。でも今のチームには残念ながら絶対的な強さがない。そして選手一人ひとりにも『オレがチームを変えてやるんだ』という気概もまったく感じられない。自分には、そういう今の構図が我慢ならないですね。
球団側も全面バックアップしてくれていますし、今さらもう後には絶対に引けない。自分がここで何を求められ、何を為すべきなのか。それについてはよく分かっているつもりです。キレイなことをするつもりは毛頭ありませんよ。やるからには死ぬ気でやりますんで、まあ、見ていてください」
そう語ったとき、金本監督の目はウソ偽りなどなく澄み渡り、確かに光り輝いていた。
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