東京五輪を“VR席”で見る時代がくる? VRが変える新しいテレビのカタチとは(2/3 ページ)
近い将来、VRが今よりも普及したとき、映像コンテンツの楽しみ方はどのように変わっていくのだろうか――360channelが展開する「VRテレビ局」の可能性について、同社でプロデューサーを務める中島健登氏から話を聞いた。
VR専門テレビ局の可能性
コロプラはもともと、日本企業の中でも先駆けてVR事業に取り組んできた。今ほど注目されていなかった2014年から、VR技術を取り入れたゲーム『the 射的!VR』『白猫VRプロジェクト』などをリリースした他、国内外のVR関連企業へ投資するファンドも今年1月に立ち上げている。
そんな同社がいま熱くなっているのがVRの映像領域である。VRは今後、映像領域を中心に盛り上がっていくとして、ゲーム開発で培ってきたVRに関する知見を映像の方に生かべきと考えたそうだ。
360Channelのメンバーには、既存のテレビ番組を制作している人たちも加わっているそうだが、通常のテレビとどのような点で差別化を図っていくのだろうか。
VRコンテンツ特有の強みについて中島氏は「VRは、その場にいるかのような臨場感において間違いなく従来のテレビに勝ります。その強みを生かしたコンテンツを追求し、量産していきます」と説明する。
例えば、同社のコンテンツの1つ、お笑いコンビのチュートリアルが司会を務める『チュートの真夜中にヤりたい事!グラドル ガチ誘惑グランプリ!』では、トーク(収録)スタジオの中、あるいはVTRの中に自分がいるかのような体験ができる。スタジオでは芸能人(演者)に囲まれ、VTRではアイドルなどが自分に向かって話しかけてくる。他にも、飛行機が好きな人なら『ANA機体工場見学』で、目の前で機体やエンジン、コックピットを見ることができるなど、“テレビの中にいる”臨場感を得ることができるわけだ。
こうしたいわゆる体験型の視聴コンテンツはバラエティ番組と相性が良く、実際、『チュートの真夜中にヤりたい事!グラドル ガチ誘惑グランプリ!』と『ANA機体工場見学』の視聴回数は、どのコンテンツよりも多い。
ただ、中島氏は自社のVRコンテンツに自信を見せると同時に、まだまだ発展途上だとも語る。
「まだまだ改良の余地はあります。クリエイター側が思う臨場感だけで作ってはダメで、ユーザーの体験(意見)を参考に視聴者の視点位置を工夫するなど、ユーザーと一緒に成長していく必要があると思っています。テレビ制作の知見あるスタッフともに研究を続けていきます」(中島)
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