コラム
暴力団との正しい“付き合わない方法”(2/4 ページ)
ビジネスシーンで知らないうちに暴力団関係者と知り合っていたり、取引をしていたりすることも少なくありません。本稿では、暴力団関係者と出会ってしまった場合の正しい“付き合わない方法”を解説します。
2. 法令の理解
まず、暴力団を巡る法令環境について正しく理解する必要があります。
(1)暴力団対策法
正式名称「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」は、暴力団員による暴力的な要求行為を規制し、市民生活の安全を図ることなどを目的として制定された法律です。
この法律は、特に、暴力団員が人の弱みにつけ込み「口止め料」を要求したり、「寄附金・賛助金・用心棒代」といったよく分からない金銭を要求したり、理由がないのに「下請業者」として参入することを要求したりする行為を「暴力的要求行為」として類型化して、これらの行為が行われた場合、警察署長に対して当該行為を禁止する命令(中止命令)を発することができるようにしています。
また、平成20年5月には、いわゆる“舎弟”や“子分”が「暴力的要求行為」を行った場合、その“兄貴分”や“親分”も中止命令の対象としたり、また、“子分”らによる「暴力的要求行為」について、“親分”らにも損害賠償責任を課したりするなどの法改正が行われております。
要するに、法律をもって、“子分”の不始末を“親分”が負担するようにしたわけです。ちょっと笑えますね。
暴力団の世界では、「上の者」に迷惑をかけることを極めて嫌う体質がありますので、こういった独特の関係を利用して暴力団による「暴力的要求行為」などの封じ込めを狙っているわけです。
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