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バーバリーの穴は大きすぎた ライセンス切れの三陽商会が業績不振で大リストラ(2/2 ページ)
45年に及ぶ英バーバリーとのライセンス契約を昨年6月末に終了してから1年余り。アパレル大手・三陽商会の売り上げが大幅に落ち込んでいる。
巻き返しを図るべく、三陽は今月から半期に1度のセールに乗り出した。固定客獲得にも努め、18年には200億円の売り上げ目標を掲げる。佐久間専務執行役員は「株安など環境的なマイナス要因はあったが、前向きな感じはある」と達成に意欲をみせる。
もっとも、アパレル業界を取り巻く環境は厳しい。特に同社が得意とする百貨店での衣料品販売は、消費低迷やファストファッションの台頭により、10年からの5年間で約1800億円も減少した。最近はファストファッションですら苦しく、今年5月には米ギャップが低価格衣料「オールドネイビー」の日本撤退を発表している。
三陽はもともと、バーバリーを失うことで、16年6月中間期は22億円の営業赤字に転落するとみていた。しかし、アパレル不況で全体的に販売が落ち込んでいることから、6月24日に赤字額を55億円に下方修正。売上高も、370億円から335億円と見通しを引き下げた。さらに、10月に全社員の約2割にあたる約250人の希望退職を募ることや、不採算の数ブランドを休廃止することも打ち出した。
「ロンドン」が順調に育てば、18年12月期には50億円の営業利益を達成できるとしているが、新ブランド育成だけでなく、徹底した構造改革も同時並行で進めなければならない。(井田通人)
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