苦闘20年! 中国でローソンの店舗数がやっと伸びてきた理由:水曜インタビュー劇場(上海公演)(2/7 ページ)
中国で、ローソンの店舗数が伸びている。2年半で、2.5倍ほど拡大したわけだが、現場ではどのような手を打ってきたのだろうか。現地でマーケティングを担当している吉田涼平さんに話を聞いた。
リピート率が高い
土肥: ローソンといえば「Ponta(ポンタ)カード」から得られるデータを使ってマーケティングに生かされていますが、中国ではスマートフォンのアプリを使う客が多いそうですね。アプリから得られるデータからどんなことが見えてきましたか?
吉田: 約27万人にダウンロードしていただいていて、どのくらいの頻度で購入しているのかを分析しました。全体の平均をみると、「週に3.2回」なんらかの商品を買っていただいています。次に、購買データを分析したところ、お気に入りの商品を買っている人は、何度もその商品を購入していることも明らかになってきました。リピート率は29.5%。残念ながら日本の数字は公表していませんが、この数字はものすごく高いですね。
新商品を発売すると、「ちょっと食べてみようか」ということでその商品を購入していただくケースも多いのですが、「やっぱりいつもの商品を買おう」と戻られる人のほうが多いんですよね。こうしたデータを見ながら、どういった新商品を出せば継続的に買っていただけるのか。新しい商品をヒットさせるにはどうすればいいのか。そんなことを議論しながら、新商品の開発を考えています。
土肥: 日本では「からあげクン」が定番商品のように売れていますよね。でも、中国の店では並んでいない。なぜかなあと思って広報の人に聞いたところ、20年前に出店した当時は発売していたとか。しかし、全く売れなかったそうですね。「中国の唐揚げと味も形も違うからではないか」(広報)と言っていましたが、店頭でおでんは販売している。詳しく話を聞いてみると、からあげクンが売れなかったので、次に何かないかなあと考えたときに、「試しに『おでん』を売ってみよう」となったとか。
ただ、日本式のおでんを販売してもなかなか売れなかったそうですね。大根などを販売したところ、価格が高くて現地の人に受け入れられなかった。じゃあ、中国人が好み、価格もそこそこのモノは何かと考えた結果、魚のすり身にたどりついた。また中国の人は「買ってすぐに食べる」人が多いので、食べやすいように「おでん」に串を刺されたんですよね。
吉田: はい。
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