苦闘20年! 中国でローソンの店舗数がやっと伸びてきた理由:水曜インタビュー劇場(上海公演)(3/7 ページ)
中国で、ローソンの店舗数が伸びている。2年半で、2.5倍ほど拡大したわけだが、現場ではどのような手を打ってきたのだろうか。現地でマーケティングを担当している吉田涼平さんに話を聞いた。
日本にはなくて、中国で売れているモノ
土肥: 中国に進出してから1年が経ち、上海の店で「くし刺しおでん」を発売したところ、大ヒットしました。日本では1店舗当たり1日に数百個売れるのに対し、こちらでは1000個以上売れる店もあったそうですね。いまでも「おでん」は定番商品のように並んでいますが、おでん以外にヒットしている商品はありますか?
吉田: いくつかありますね。日本にはなくて、中国で売れているモノといえば「豆乳」ですね。町の屋台で豆乳を飲まれる人が多いので、ローソンでも販売したところヒットしました。ある店舗では、1日に100杯以上売れています。価格は3.5元(税込)。町の屋台よりも少し高いのですが、「高くてもコンビニで買おう」という人が増えてきました。
土肥: どういう意味でしょうか? 安いほうがいいのでは?
吉田: 安全や健康を意識されている人が増えてきたからではないでしょうか。こうした傾向は豆乳だけではありません。例えば、お弁当も路上で販売していて、そこでは安いモノがたくさん並んでいます。しかし、特に夏場になると、コンビニのお弁当がよく売れるんですよね。なぜか。暑い夏場にお弁当を長時間置いていると、腐るかもしれない。そうした不安を感じている人が、コンビニでお弁当を購入されているのではないでしょうか。
土肥: 日本にいると「中国産は怪しい」といった報道が多いですが、現地の人たちもなんとなくそれは分かっていて、価格は少々高くても「安心、安全」なモノを選ぶ人が増えてきたということですかね。
吉田: ここ数年、豆乳やお弁当だけでなく、さまざまな商品で安全や健康を意識した人が増えてきました。例えば、サラダ。これまではポテトサラダの売り上げが好調でした。次に、鶏肉の入ったサラダを発売したところ、一緒におにぎりを購入されるケースが多いんですよね。一方で、普通のサラダについては、一緒にお弁当やカレーを購入されるケースが多い。
土肥: それはなぜですか?
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