米マクドが復活の兆し! 外食産業が注目する「朝食」事情:来週話題になるハナシ(2/3 ページ)
米国で「朝食戦争」が勃発している。ファストフードチェーンやレストランなどが、次々と新しい朝食メニューを投入し、顧客の争奪戦を繰り広げている。このトレンドの波にうまく乗っているのが、マクドナルドだ。
レストラン業界も興味深い動き
一方、もともと朝食を売りにしてきたレストラン業界も興味深い動きを見せている。1日当たりの平均売上の24%をブレックファーストメニューが占める米デニーズも、大きな改革を行ったばかりだ。
その改革というのは、パンケーキのレシピをグレードアップしたことだ。新しいレシピのパンケーキは、2016年7月からメニューに投入された。
この新しいパンケーキの最大の特徴は、厚みのある生地。パンケーキミックスに水を加えて作る既存のレシピとは違い、新鮮な卵とバターミルクを使うことで、50%フワフワ感がアップしている。ちなみに、新メニューの導入で材料費もそれなりに増加しており、新しいレシピは材料費が従来より500万ドル増にもなるという。
それでも新しいレシピを提供するわけは、これまでごく平均的な朝食しか提供してこなかったデニーズが、そのままでは「朝食戦争」に生き残れないことを認識しているからだ。「普通においしい」程度では、顧客を満足させるのは困難になりつつあり、まだ余力のあるうちに生き残りをかけた朝食メニューの改革に取り組む必要性があった。
デニーズではさらに、主力メニューであるパンケーキの改良に加え、2026年までに使用する卵をケージ・フリー(放し飼い)で育てた鶏の卵に切り替えていくことを発表している。
朝食をめぐる変化は外食産業以外にも広がっている。かつて自宅でのブレックファーストの定番として大人気だった「シリアル」にも変化が見られる。
米国でのシリアルの消費量は、過去10年下がり続けている。2005年には約1億5500万トンが消費されていたが、2015年までに2000万トン以上減っている。
その背景には、朝食の選択肢が増えていることがある。近年では、ヨーグルトやバータイプの商品(ドライフルーツやナッツ、プロテイン・バーなど)に加え、グラノーラなどのハイエンドな商品が人気だ。さらに健康志向な人たちにはスムージーが選ばれる。
また、ファストフード店に行けば、値段が安くて手軽に食べられる朝食がある。朝の慌ただしい時間にわざわざ自宅で朝食を食べる必要はないし、若い人の間では、食べたあとに食器を洗ったり片付けるのが面倒だとの声もある。
そんなことから、シリアルを食す人が減少しているのだ。ただそんな時代の変化に、シリアルメーカーも新しいアプローチを試みている。
関連記事
- 「マルちゃん ハイラーメン」が静岡だけで50年以上も売られているワケ
静岡県で発売されている「マルちゃん ハイラーメン」をご存じだろうか。発売は1962年。新商品はたくさん発売されているのに、なぜハイラーメンは静岡県だけで生き残ることができたのだろうか。 - 苦闘20年! 中国でローソンの店舗数がやっと伸びてきた理由
中国で、ローソンの店舗数が伸びている。2年半で、2.5倍ほど拡大したわけだが、現場ではどのような手を打ってきたのだろうか。現地でマーケティングを担当している吉田涼平さんに話を聞いた。 - ファストフードの時代は終わった? 変わりゆく米国の食事情
米国のファストフードと言えば「マクドナルド」を思い浮かべる人も多いのでは。米国のみならず、世界中の食文化に大きな影響を与えてきたファストフード・ビジネスが、いま大きく変わろうとしている。 - なぜマラソンビジネスが巨大化しているのか
いま、米国ではマラソンがとんでもない盛り上がりを見せている。国際的に有名なニューヨークシティマラソンなどのほかに、国内で約1200もの大会が開催されている。マラソン大会が増え続けている背景を調べてみると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.