“無法地帯”奈良市ごみ処理場 職員たちのあきれた実態(2/4 ページ)
職場に“私設”トレーニングルームが設置されていたことが判明した奈良市のごみ処理場「環境清美センター」。さらに建物を調べたところ、アダルトビデオを備えたプレハブ小屋が無断で作られているなど無法地帯と化していた実態が明らかに。
組合は「不当労働行為」と反発
問題発覚から6日後の7月18日。市の職員安全衛生規則に基づき組織される安全衛生委員会の環境部会が緊急開催された。
職場環境などについて各部署の責任者と組合員が協議する会で、対策や責任について話し合われるかと思いきや、「トレーニングは労働安全衛生法に基づき、作業中の事故防止や腰痛防止として行われている」「労働条件にかかわる事項で、協議なく『撤去せよ』というのは不当労働行為だ」といった声があがったという。
委員会では、当時の環境清美部長ら関係者からの聴き取り調査をもとにしたトレーニングルーム設置の経緯も確認。平成11年に「事故を未然に防ぐための体力向上」を目的とする健康器具の購入要望があったため、12年度予算50万円での購入を決定し、同年7月に器具が納品されたことが明らかにされた。
市総務部によると、当時納品されたのは、パワーラック1台▽マッスルビルダー1台▽フラットベンチ1台▽バーベル用シャフト2本▽カールバー1本▽バーベル用プレート22個▽マット1枚▽バーベルプレートラック1台――など。ただ、駐車場棟にあった器具が納品されたものかどうかは、備品ラベルとの照合などができず、「確認できていない」という。
トレーニングスペースは当初、センター内の「事務厚生棟」3階の食堂の一角が使われていたが、階下や隣の休憩室から振動や騒音の苦情が多くなったため、14年秋以降に当時の駐車場棟管理者の許可を得て、現在地に移したという。
こうした経緯から組合側は「奈良市環境部のトレーニング室は私的ではない!仲川市長はでたらめをいうな!」「市当局の責任を職員になすりつけるな!」などと書いたビラを配布し、反発を強めている。
21年に就任した仲川市長は「経緯を知らなかった」という。しかし、「市が認めた経緯があったとはいえ、今の世の中の常識からみてどうか。筋トレは、家に帰ってからやる話だ」と指摘、「合理的に残す理由はないと思う」と完全撤廃する方針を示している。
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