“無法地帯”奈良市ごみ処理場 職員たちのあきれた実態(3/4 ページ)
職場に“私設”トレーニングルームが設置されていたことが判明した奈良市のごみ処理場「環境清美センター」。さらに建物を調べたところ、アダルトビデオを備えたプレハブ小屋が無断で作られているなど無法地帯と化していた実態が明らかに。
まさに“やりたい放題”
今回の問題は、ごみとして回収した空き缶や自転車を盗んで売却するなどしたとして、ごみ処理場の職員4人が逮捕されたのをきっかけに、市が現場の調査に入って発覚した。
そこで市の担当者が見たものは……。センターの駐車場棟はトレーニングルーム以外にも、とても公の施設とは思えないような“無法地帯”と化していた。
2年に竣工(しゅんこう)した駐車場棟は鉄筋5階建てで、西棟と東棟の2棟からなる。勤務で職員が利用する駐車場で、347台が収容可能だが、その至る所に回収された廃棄物とみられる電化製品や資材などが放置されていた。
1階にはスクーターやバイクが置かれ、スキー板が入ったロッカー、掃除機なども。2階にはナンバープレートのない軽自動車や毛布、壊れたビニール傘数本。3階には新品と中古のタイヤや古びた冷蔵庫のほか、中身の入ったペットボトル入りの焼酎も。このほか、ゴム手袋やホース、扇風機など洗車道具一式が整理しておかれた“洗車スペース”らしき場所もあった。
また小さなプレハブ小屋も作られ、中にはソファに冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、洋服棚がそろい、テレビも2台。棚には100本以上のアダルトビデオが並び、職員がテレビやビデオの鑑賞に使っていたとみられる。とても公のごみ処理施設とは思えない光景だ。
未出勤でも満額給与、「中抜け」も
あきれるばかりの実態だが、ごみ処理業務を担当する同市環境部では過去にもさまざまな不祥事が発覚、問題の根深さが指摘されてきた。
18年には、約5年9カ月で8日間しか出勤していないのに、給与が満額支払われていた職員がいることが発覚。翌19年10月には、勤務中に職場を無断で離れる「中抜け」問題が表面化し、仲川市長は職員の通勤車両を登録制にしたり、監視カメラを高精度化するなどの対策を講じた。
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