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「富士そば」人気の秘密を探ってみる:高井尚之が探るヒットの裏側(4/4 ページ)
ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、人気企業・人気商品の裏側を解説する連載。今回は売上高と店舗数を伸ばす、立ち食いそばの「名代 富士そば」を読み解く。
地方よりも海外に積極展開
近年は出店範囲も広がり、オフィス街中心の競合他社との差別化につながっている。
「2016年に出した西武池袋線の富士見台店(東京都練馬区)のように、店舗の背後に住宅街が広がる場所の出店も増えました。こうした店は、近くに住む現役時代に都心店を利用されていた高齢客、富士そば未体験だった女性客、ファミリー客も利用されます」(丹有樹氏)
客層の変化に応じて、曇りガラスの間仕切りのある座席を導入する店もある。また、メニュー選びに関しては二極化も見られるという。
「1店舗限定ですが、『上かつ丼セット』を990円で出したところ、思ったよりも売れました。また、今春に全店で『海老天祭り』を行い、2本入りのダブル海老天そばとうどんを550円で出した時も予想以上に品数が出ました。ワンコインにこだわるお客さまがいる一方で、価格に見合う商品を提供すれば集客につながると感じています」(同)
富士そば史上最高のメニューが千円札でお釣りがくるのも、同店ならではといえようか。そんな富士そばが現時点でやらないことは地方への出店だという。国内全113店舗の全てが一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)にあり、箱根の山は越えていない。代わりに海外展開は「相手次第だが今後も増えそう」だという。
社会人の夏休みを控えて、人の移動が始まる時期。そば好き、うどん好きの人は立ち食いそば店の味比べをしても面白いかもしれない。
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