考えていることを「見える化」する:「売れる商品」の原動力(5/7 ページ)
ブランドビジョンを全員が共有するにはどうすればいいのでしょうか。モチベーションにつなげるためにもトップダウンで落とすのではなく、できるだけ多くの人がビジョン作りに参加することが理想的です。
変化しはじめた社員の意識
通常、こうした企業サイトのリニューアルは宣伝部の担当者などが、アクセスの少ない夜中にやってしまうものです。そもそも企業で働く人が自社のサイトを見ることそのものが多くないはずです。
けれどもジェクトワンでは全社員が集まって、テープカットならぬサイトリニューアルのセレモニーを行いました。あえて、自社サイトが新しく生まれ変わったことを社員一人一人に認識してもらうためです。
ただし、企業理念を共有するといっても、社員が皆、判で押したように同じ定型句を語るというのはちょっと違います。あくまでジェクトワンは「人間力」を重視している会社ですし、そのためには個々の社員が企業理念を深く理解して共有しつつも、自分で考えて自分の言葉で語ることが求められます。
同時にそのためにも、理念を明文化し、しっかり受け止めて共有することが大切なのです。
企業の理念や考え方を明文化し、社員全体で共有していくと少しずつ変化が現れてきました。まず社員の意識が変わったのは、「自分たちは誰に喜んでもらいたいのか」という強い自覚です。
前述したように同社では“自分で判断する”ことを重視していますが、その判断のものさしとなるのが、企業理念であり事業理念なのです。社としての理念や考え方に照らして、どうするかを判断する。
ソリューション部門は、自分の土地に愛着を持ちながらも利用価値を見いだせずにいた人たちに喜んでいただきたい。そこで「望みを、描く」というコンセプトを掲げ、地域価値の最大化や長年住んできた人の気持ちに寄り添うことなどをブランドステートメントに込めました。
リノベーション部門であれば、新築もいいけれども無駄なぜいたくはしたくないと考える堅実な人や、新築・中古にこだわらず本物志向の人、あるいはインテリアや家具を自分で選びたいと考えている人たちに喜んでもらいたい。そこで「幸せを、描く」と掲げ、やはり安心できる住まいの提供や妥協を排した品質重視をブランドステートメントにつづりました。
関連記事
- ブランド成長の源は「独自性」を磨くこと
第一のビジョンに数字を掲げるべきではありません。皆が情熱を傾けられるブランドに育つには、“何のため”“誰のため”かが明確にされていることが重要です。 - ブランディングとは、お客さまと企業との「幸せな関係づくり」
「ブランド」の本質は、自分たちと世の中とが互いに“幸せな関係”になっていくところにあります。 - 会社は“何のため”にあるのか
そもそも、会社はなんのためにあるのでしょうか。経営者もそこで働く人たちも、お互いが幸せになるためにあるはずです。 - あなた「らしさ」とは? このように聞かれてどう答えますか
「自分らしく」「うちの会社らしく」など、しばしば私たちは「らしさ」という言葉を、使います。ところが「では、あなたらしさとは?」と問われると、案外、答えはスラスラと出てこないものです。 - 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - 売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ
島村楽器が売り上げをグングン伸ばしている。ショッピングセンター内を歩いていると、同社の看板をよく目にするが、ルーツを知らない人も多いのでは? 島村楽器・広報課に話を聞いたところ、意外な事実が……。 - 「マルちゃん ハイラーメン」が静岡だけで50年以上も売られているワケ
静岡県で発売されている「マルちゃん ハイラーメン」をご存じだろうか。発売は1962年。新商品はたくさん発売されているのに、なぜハイラーメンは静岡県だけで生き残ることができたのだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.