連載
なぜ日本人は“世代論”が大好きなのか:常見陽平の「若き老害」論(2/3 ページ)
常見陽平が職場にはびこる「若き老害」という現象を全6回で読み解くシリーズ。第2回は日本人が大好きな「世代論」「世代闘争」が若き老害を生み出している……という話。
一人歩きしてしまう「世代論」「若者論」
「若者論」というのも「世代論」の一つのジャンルであり、メディアをにぎわせている。古くは「団塊の世代」「太陽族」「新人類」「就職氷河期世代」に始まり、「ゆとり世代」「さとり世代」など、世代に関する言葉はそれなりに流行語になっている。「○○世代」という表現ではなくても、主に若者に関連した、その世代を象徴する言葉も流行する。「草食系男子・肉食系女子」「マイルドヤンキー」「パリピ」などである。
「世代論」や「若者論」に関する言葉は一人歩きする。私が広めた「意識高い系」についても、「意識だけ高く自己啓発や人脈構築に力を入れているが、どこか能力も意欲も足りなくて、空回りしている残念な人」を指す言葉だったはずなのだが、いつの間にか「若者を萎縮させた張本人」ということで戦犯扱いされてしまった。極めて遺憾である。
感情を手放して言うならば、この「世代論」はメディアにおいて、あるいは酒の肴(さかな)においても、なかなか優秀なコンテンツだともいえる。前出の「今年の新入社員は○○型」も毎年、テレビや新聞に掲載される。若者の特徴を捉えた言葉はネット上でもバズる。これだけ世代論、若者論を批判的に論じていて何だが、そういう私も「意識高い系」という言葉の仕掛け人ということになっている。
このように、世代論は不毛だが、それなりに注目を集めてしまうということをまず意識したい。
関連記事
- いま職場で“若き老害”が増えている
「老害」の概念が変化してきている。いわば「老害」の「若年化」ともいえる問題だ。この連載では、常見陽平が職場にはびこる「若き老害」という現象を全6回シリーズで読み解く。 - 40代の男性が人から言われて最も傷つく言葉は?
40代の男性が人から言われて最も傷つく言葉は内面よりも、外見に関すること? - 新入社員の約7割が社会の厳しさを痛感 その理由とは
新入社員はどのようなときに社会の厳しさを感じたのか――マイナビ調べ。 - 上司との良質な対話がストレスをなくす? ヤフーが本気で取り組む1on1プロジェクトとは
企業にとって重要な課題である離職率の抑制、メンタルヘルス対策、そして従業員の生産性の問題。これらの問題を解決するヒントがどうやらヤフーの人事施策にありそうだ。一体どんな人事施策なのか……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.