誰が困っているのか コンビニ値引きセールの実態:コンビニ探偵! 調査報告書(3/3 ページ)
先日、ファミリーマートが公正取引委員会からの下請代金支払遅延等防止法に関する勧告を受けたと発表した。ファミマに限らず、コンビニ本部が店舗に負担させている費用は少なくない。今回は、値引きのカラクリなどを例にコンビニ運営の実態をご紹介しよう。
ポスターやポップは隅々まで見ない
ニュースリリースに書かれていた文言の中で、一般の方に一番なじみがないのは「カラー写真台帳制作費」だろう。カラー写真台帳製作費とは、本部から配布される新商品のポスターやポップなどの販促用の書類全般のことを指す。
ポスターのデザイン、ポップのコピーなど、パッと見ただけで「丁寧につくられている」ことがよく分かる。しかし、残念ながら隅々まで読まれれることはない。コンビニでは毎週、数百種類の新商品が発売されるので、すべての情報に目を通す余裕がないのだ。
いや、新人オーナーであれば、ひょっとしたらすべての文言に目を通しているのかもしれない。しかし、ちょっと慣れてくると「この商品はたぶんダメだろうな」「飲料の棚にちょっと余裕があるから発注しておこうか」といった感じで、採用していく。オーナーは「キャンペーンをすればすべての商品が売れる」とは思っていないので、多くのポスターやポップはチラっと見て、ゴミ箱に捨ててしまうのだ(もったいない話である)。
こうした「カラー写真台帳」の製作費は誰が負担しているのか。キャンペーン時の費用はメーカーが協賛金を出すケースが多いが、今回のリリースをみるとこのお金も店舗に負担させていただようだ。
コンビニにはさまざまな取引先がある。通常のメーカーはもとより、そのコンビニだけと取引している会社もある。弁当やおにぎりなどの食品製造の会社は、特定のコンビニだけと取引していることも珍しいことではない。
「Win-Win」という言葉がある。お互いにメリットや利益があるという意味だが、コンビニはいくつものWin-Winに囲まれて運営されていることを、本部は忘れているのではないかと思えてならないのは筆者だけだろうか。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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