コンビニの「トイレだけ利用」はアリなのか、ナシなのか:コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)
急に用を足したくなって、コンビニのトイレを利用したことがある人もいるだろう。このとき、従業員にひと声かけて利用した? 店内で買い物をせずに利用した? それとも……。
白黒はハッキリさせずに、あやふやなままで
なぜ売り上げは伸びたのか。「立ち読み→ついで買い」という流れは、お客さんにとって「雑誌をタダで読んで帰るのは、申し訳ないなあ」という心理的要因を利用している。しかし、雑誌の立ち読みを認めているので、「ついで買い」という目的を失わせてしまっているのだ。
これはトイレにも同じことが言える。コンビニ側はトイレだけの利用も可能としているが、これを公言してしまうとトイレを開放した目的である「ついで買い」が減ってしまう恐れがあるのだ。トイレの光熱費を支払っているオーナーとしては、何のためにトイレを設置したのか分からなくなるだろう。
多くのコンビニで店内にトイレを設置しているようになったが、それでも「できれば利用してほしくない」と思っているオーナーも少なくない。「お客が『貸してください』とお願いしないから?」と思われたかもしれないが、そうではないのだ。
マナーの悪い人がいるからだ。設置してあるトイレットペーパーを持って帰る人、保温便座のコンセントを抜いてスマホやケータイの充電をする人、成人雑誌を持ち込む人、男女共用をいいことに男女同時に使う人、買い物済みのモノをトイレ飯する人、会計前にトイレに持ち込みトイレ飯する人。
もちろん、こうしたマナー違反や犯罪行為をするのは一部の人間であるが、「トイレ利用可」をハッキリと公言してしまうと、「これらの行為が増えるのではないか」という恐れを店側は懸念しているのだ。
なんでもかんでも白黒ハッキリさせないと気が済まない……という人がいる。しかし、このコンビニのトイレ問題はどうだろうか。これまで通り、あやふやなままにしたほうが、コンビニ側もお客側も“すっきり”するはずだ。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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