2015年7月27日以前の記事
検索
連載

京都府警の「犯罪予測システム」が使えない、これだけの理由世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

京都府警が10月1日に、日本で初めて「犯罪予測システム」の運用を開始した。運用開始したばかりの京都府警には申し訳ないが、米国では今、犯罪予測システムそのものに批判的な見方が噴出している。なぜかというと……。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

費用対効果に注目

 日本に限らずとも、例えば首脳などのVIPが訪問する際には警察当局が徹底して、犯罪シミュレーションを行っているし、大きなイベントがあれば所轄警察が犯罪予測もして警備などを行っているはずだ。ただ単に過去に警察が把握した事件をデータベース化するだけなら、おそらくすでにほとんどの警察が行っているだろう。少なくともいまさら6500万円プラス5900万円の予算をかけて予測システムを開発する必要はないかもしれない。

 もちろん、新しいシステムを導入していくという気概は大切だろう。また市民へのアピールという意味では、何もしないよりはいいのかもしれない。京都府警について言えば、今後この高価なシステムが「使える」モノかどうか、データベースがきっちりとその答えをはじき出してくれるはずだ。「予測型犯罪防御システム」の費用対効果に注目したい。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る