子どもの写真をアップしまくって大丈夫なのか 親が知らない「本当の危うさ」:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
子供の写真をネット上にアップしたことがある、親も多いのでは。セキュリティーやプライバシーなどの問題があると言われているが、オーストリアで自分の子供時代の写真を両親が許可なく掲載した、として訴えを起こす騒動があった。さて、結末は……?
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
2016年9月、世界ではこんな話題が大きく取り上げられた。
オーストリアのケルンテン州に暮らす18歳の女性が、自分の子供時代の写真を両親が許可なくFacebookに掲載したとして訴えを起こした。父親は自分で撮影した写真だから、好きなように掲載する権利があるとし、娘が要請するように写真を削除することはしないと主張。結局、両者の意見がこじれて裁判で争うことになったのだ。
オーストリアの有力な週刊誌『Die ganze Woche』で最初に報じられたこのニュースは、英字メディアがこぞって取り上げたことで瞬く間に世界中に拡散された。もともと、FacebookなどのSNSに我が子の写真をアップする人は世界中にたくさんおり、子供の写真を掲載することについては以前からその賛否が議論されてきた。
実は、このニュースはその後に急展開を見せるのだが、とにかく世界ではこの騒動をきっかけに、改めて子供の写真をSNSなどに掲載することについての議論が再燃している。
まずこのオーストリアのケースをもう少し詳しく見てみたい。
ケルンテン州の18歳の女性は、親が彼女の同意なく500枚ものプライベート写真を掲載したとして訴えを起こした。幼少時代からの画像は両親のFacebook上の友だち700人にシェアされており、プライバシーの侵害に当たると主張している。
『Die ganze Woche』の取材に対し、この女性は次のように語っている。「両親には恥も制限もない。私がおまるに座っていようが、ベッドで裸で寝ていようが気にすることもない。成長のすべての段階が写真に収められて、一般に公開されている」。そして、それらの写真のせいで恥ずかしい人生を送っていると主張し、両親に写真を削除するよう頼んでも応じる気配はないので、訴訟を起こすことに決めたという。
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