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カルビーが「成型ポテトチップス」の開発を止めなかった理由(2/2 ページ)
ついにカルビーが「成型ポテトチップス」市場に本格参入した。筒型タイプの新商品「ポテトチップスクリスプ」を発売、初年度で20億円以上の売上高を目指す。実は成型ポテトチップスの商品化は以前から検討を進めていたのだが……。
ところが、カルビーは当初2015年8月に予定していたクリスプの発売を延期。その理由について御澤氏は「品質にばらつきがあった」と明かす。具体的にはチップスの形や食感、味付けにムラがあったという。味付けについて、成型ポテトチップスは生地に調味料などを練り込む製法が一般的だが、クリスプでは食感を良くするためチップスに調味料を上掛けするので、どうしてもばらつきができてしまう。そこで製造システムのオペレーションを細部まで調整して品質を均等にしていった。
市場全体の活性化を
クリスプの売り上げ状況はどうか。先行発売した北海道エリアでは、計画よりも売り上げが2割以上伸びており、発売1カ月間のシェアは40%に上った。スーパーマーケットなどで展開する販促ツールが好評だったそうだ。
成型ポテトチップス市場全体を見ると、クリスプの発売前後4週間を比較して149%成長したという。つまり、カルビーの参入に他社も刺激を受けて、販売に力を入れたことなどがうかがえる。この結果にカルビーは手応えを感じている。「元々の参入目的が、競合他社からシェアを奪うというよりも、成型ポテトチップス市場を活性化することだった」と御澤氏は強調する。
長らく成長が鈍化していた成型ポテトチップス市場。クリスプの登場によって市場は大きく盛り上がっていくのか、今後の各社の動きにも注目したい。
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