売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由:菓子でリフレッシュ(1/8 ページ)
皆さんの会社には「オフィスグリコ」はあるだろうか? 江崎グリコがこのサービスを本格展開し始めてから十数年のうちに売上高は17倍以上の53億円に。その成功の秘密に迫った。
読者の中で「オフィスグリコ」を利用している人はどのくらいいるだろうか。もしかしたら、「残業のおともに、毎日のように利用している」という方も多いかもしれない。
オフィスグリコは、食品メーカー大手の江崎グリコが提供するオフィス向け置き菓子サービスのことで、これまでに全国約11万事業所に、約13万台の菓子が入ったリフレッシュボックスを設置。リフレッシュボックスを設置する費用は不要で、グリコのスタッフが定期的に訪問して、リフレッシュボックスの菓子を補充する。
利用者は、そこに用意された貯金箱に100円を入れるだけで菓子を購入できる。基本的には、ほぼすべての製品が100円で購入できるようになっており(一部150円や200円の製品もある)、ワンコインの手軽さは大きな特徴だ。ちなみに、「置き菓子」という言葉は、江崎グリコの登録商標となっている。
だが、その仕組みの簡単さだけでオフィスグリコのビジネスが成り立っているわけではない。定期的にオフィスを訪問して、品切れにならないように補充する体制を整え、ユーザー企業からのリクエストやニーズの変化に対応することで進化を遂げてきた。一時は競合メーカーが参入したこともあったが、いつの間にか撤退し、この分野はグリコの独擅場だ。2007年にはビジネスモデル特許を取得。他社の追随を許さない盤石な体制を作り上げた。
「コンビニエンスストアは全国で5万店を超え、そこで菓子メーカーがしのぎを削っている。だが、オフィスグリコは13万台のボックスで、当社だけの売り場を作ることができた」(グリコチャネルクリエイトの古藪啓介社長)というように、流通戦略における差別化にもなっている。
2016年6月には、江崎グリコの100%子会社のグリコチャネルクリエイトを設立。オフィスグリコ事業を移管して、独立性を高めながら、さらなる事業拡大に向けた一歩を踏み出したところだ。
関連記事
- “不毛時代”続いたカルビー「フルグラ」がなぜ急激に売れ出したのか?
カルビーが8期連続で過去最高益更新と絶好調だ。その業績を支える柱の1つがシリアル食品「フルグラ」である。この数年間で急成長を遂げており、2018年度ごろには500億円の年間売り上げを見込む。しかし以前は低迷期が長らく続いていた商品なのだ。 - ダーツで席決め 好業績のカルビー、成長の源はオフィスにあった!
2009年に経営体制を大きく刷新したカルビー。それが功を奏し業績を伸ばし続けている。松本会長の号令の下、さまざまな経営改革に取り組んできた。その1つが本社移転をきっかけに推進したオフィス戦略だ。 - 配って、売れて、パクられて――ポッキー海外物語
江崎グリコの「ポッキー」が、海外で広がりつつあることをご存じだろうか。インドネシアでは2012年から本格的に展開しているが、売上目標を軽く上回る勢いだ。その理由は……。 - 鴻海からの“心遣い”を、シャープはどう受けとめたのか
台湾の鴻海によるシャープ買収決定後に開かれた共同会見において、鴻海・郭会長兼CEOはシャープのイノベーターとしての歴史をべた褒め。ところが、両社の経営に対する基本姿勢はまるで異なるものなのである。 - 東電が家庭契約のシェア2割を失っても痛くない理由
2016年4月から電力自由化がいよいよスタートする。各社から新料金が出そろい始めた中、東京電力の料金プランに着目した。ここから同社の事情が見えてくる。 - なぜマイクロソフトは自社ブランド端末「Lumia」を日本に投入しないのか?
さまざまな企業が参入し、日本で「Windows 10 Mobile」搭載のスマートフォンが相次いで発売されている。マイクロソフトは力を入れているというが、その本気度を感じられない、ある理由があるのだ。 - おっさんの胃袋をわしづかみ、“肉撃”ですぐさま利益改善を遂げた大阪王将
中華料理チェーン「大阪王将」などを展開するイートアンドは一昨年、ターゲット顧客と商品戦略の見誤りなどから営業利益を大きく下げた。そこから戦略を練り直し、すぐにV字回復したわけだが、その取り組みとは一体――。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.