日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識”:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
過労死の問題が話題になっている。この問題に対して、海外メディアはどのように報じているのか。「労働時間」「残業」「休暇の取得」などは常識の範囲内で行っているつもりかもしれないが、外国人からは“非常識”に映っているようだ。
日本人が過労死してしまう理由
10月16日付のニュージーランド・ヘラルド紙は、日本人が過労死してしまう理由のひとつには、日本では転職が世界と比べてあまり行われないことが挙げられると指摘する。「労働者の大半が一度企業に入社を果たせば、会社やキャリアそのものをめったに変えることがない」日本のような国は、「従業員たちの労働時間が不健康であるとして悪名高い」と。
確かに、転職をすることでベターな労働環境を求めることはできる。追い詰められて過労死した人に「会社を辞めるべきだった」「転職するべきだった」などと言いたのではないが、確かに日本が転職に対してもっと柔軟な認識をもつ社会であれば、もしかしたら過労死した人たちのストレスは多少でも軽減された可能性はある。もう少し労働環境のいい職場に移るという選択肢にすっと頭がいくかもしれない。
米国などではさらによい労働条件を求めて転職するのは当たり前であり、給料アップや昇進のために転職をしていくことは普通である。海外のように転職によるキャリア構築は、日本では広がっていない。
ニュージーランド・ヘラルド紙はこんな問題も指摘している。日本は、「世界で見ても与えられる年間の有給休暇がかなり低い」。確かに、米経済政策研究センターのデータによれば、日本は世界と比べて有給休暇が少ない国である。同紙によれば、日本では平均10日間の有給休暇が得られる(その後、勤務年数が増えるごとに1日ずつ増え、最大で20日)のだが、他の国と比べて少ない。世界的に見て有給休暇が多いオーストリアやポルトガルは35日、スペインは34日、フランスは31日、英国では28日などと続く。
さらに問題なのは、日本人は与えられた有給休暇を消化していないことだ。旅行サイト・エクスペディアの調査によると、日本の有給消化率は60%である。ちなみに有給の多いフランス、スペイン、オーストリアなどでは消化率は100%である。この「有給休暇を使わない」感覚も、過労死の根底にはあるかもしれない。
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