なぜ大阪府警の機動隊は「土人」などと暴言を吐いたのか:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
沖縄のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事を巡って、現場を警備する大阪府警の機動隊員が「暴言」を吐いた。反対運動をしている人に「どこつかんどんじゃ、ぼけ。土人が」などと発言したわけだが、なぜ彼らはこのような暴言を吐いたのか。その理由を探ってみると……。
なぜ市民に暴言を吐いたのか
いやいや、仮に機動隊にパワハラがまん延していたとしても市民活動家への「暴言」は無関係じゃないか、と思うかもしれないが、そんなことはない。
暴力やいじめというのは、水と同じだ。高いところから低いところへ流れる。パワハラを受けた部長は、課長にパワハラをする。その課長は部下にあたる。部下は派遣社員やバイト、自分よりも弱い立場の人へと、ハラスメントは連鎖していくのだ。
「土人=差別」を唱える『沖縄タイムス』(10月21日)で、『サンデーモーニング』(TBS)などにもコメンテーターとして出演される谷口真由美さん(全日本おばちゃん党代表代行)がこんなことをおっしゃっている。
『8月に高江に行き、機動隊員が上司にお尻を蹴られているのを見た。彼らもしんどいのだろう』
大阪府警の機動隊員たちは7月から派遣されているらしい。それを踏まえて想像して欲しい。まだ20代の若者たちが家族や友人と遠く離れ、パワハラ上司からケツを蹴られながら、自分の父親よりも上の世代もいる活動家のみなさんからすさまじい罵詈雑言を浴びせられる日々を。
市民のため、正義のためにと警察官の道を志したはずなのに、「人殺しの手先」「弾圧するな」と罵られる。2日や3日なら我慢できても、ここまで長期化すれば、「暴言」のひとつも口をついて出てしまうのではないか。
つまり、今回の暴言問題の本質は、暴力とパワハラの連鎖に組み込まれている機動隊員を、警察組織を目の敵にして「挑発」も得意とする市民活動家との「消耗戦」へ投入する、という日本政府の戦略ミスにあるのだ。
日米開戦の直前、ルーズベルトはチャーチルに対してこんなことを言ったという。
「戦争はやる、しかし、宣戦はしない、そしてますます挑発的態度をとるようにする」
挑発に挑発を重ねて、最初の一撃を撃たせて「世論」を味方に付けるという戦い方だ。市民活動家の中には、こういう「情報戦」を得意とする歴戦の闘士も多い。
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