急成長する「ミールキット・デリバリー」が、米国でウケている理由:来週話題になるハナシ(3/3 ページ)
「ミールキット」をご存じだろうか。自宅で料理がすぐできるように、あらかじめレシピに合わせて必要な分量の食材や調味料などがセットされている。ネットで好みのメニューを選んで注文すると、箱に入ったミールキットをデリバリーしてくれるビジネスが急成長しているのだ。
低価格が実現している理由
そこで気になるのは価格だ。いくら便利でおいしくても、手が出ないような料金設定なら利用できない。ミールキット・デリバリーを購入する場合、1食当たりにかかる金額は普通に比べて少し割高になる(米国人が自宅で料理する場合の平均金額は、1人につき1食当たり4ドルと言われている)。
利用者が多い「Blue Apron」は、価格が比較的リーズナブルだ。最もベーシックな2人用プランで、1週間に3食(1食で2人分)のメニューをオーダーすると、送料込みで約60ドルだ。1人につき1食当たり約10ドルの計算になる。
それは「Blue Apron」が、定期デリバリーというビジネススタイルを取っているので、前もって必要な食材だけ確保して手配できるため、低価格が実現できているという。
この価格設定は絶妙だと言える。確かに、スーパーで食材を買って料理するより多少は割高だけれども、外食するよりは安い。この巧みな価格設定もあって、今、利用者はどんどん増えている。
現在、米国では150以上ものミールキット・デリバリーを提供するサービスが存在しているという。「Blue Apron」の他にも、有名なサービスでは「Plated」や「HelloFresh」といった競合ブランドがニューヨークを拠点にビジネスを展開している。
この先、ミールキットの市場は、50億ドル規模になると予測されている。そしてすでにミールキット・デリバリーのビジネスをめぐって、多くのサービスがしのぎを削り、激しいバトルが繰り広げられている。また興味深いことに、こうした動きによって米国の食文化や市場がこれまでよりも活性している。
ミールキットは今後、トレンドとなりそうな気配がある。遅かれ早かれ、日本にも広がりそうなこのサービス、先駆的な米国でどんな進化を見せていくのか、これからの動向を注目したい。
関連記事
- 「マルちゃん ハイラーメン」が静岡だけで50年以上も売られているワケ
静岡県で発売されている「マルちゃん ハイラーメン」をご存じだろうか。発売は1962年。新商品はたくさん発売されているのに、なぜハイラーメンは静岡県だけで生き残ることができたのだろうか。 - 米マクドが復活の兆し! 外食産業が注目する「朝食」事情
米国で「朝食戦争」が勃発している。ファストフードチェーンやレストランなどが、次々と新しい朝食メニューを投入し、顧客の争奪戦を繰り広げている。このトレンドの波にうまく乗っているのが、マクドナルドだ。 - 生産中止! 大苦戦していたブラックサンダーが、なぜ“売れ続けて”いるのか
30円のブラックサンダーを食べたことがある人も多いはず。年間1億個以上も売れているヒット商品だが、発売当初は全く売れなかった。一度は生産中止に追い込まれたのに、なぜ“国民の駄菓子”にまで成長することができたのか。 - なぜマラソンビジネスが巨大化しているのか
いま、米国ではマラソンがとんでもない盛り上がりを見せている。国際的に有名なニューヨークシティマラソンなどのほかに、国内で約1200もの大会が開催されている。マラソン大会が増え続けている背景を調べてみると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.