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異常が起こる20分前にAIが予測 加速する「スマート工場化」(2/2 ページ)
成長が期待されるIoT市場。特に成長が期待されているのが製造業の分野だ。工場内のあらゆる機器をネットワークに接続し、品質や状態を詳細かつ、リアルタイムに把握(予測)することで生産性を高める「スマート工場化」の取り組みが加速している。
AIが化学プラントの異常を事前に検知
実証実験では、ガス製品プラントに投入する原料の温度、圧力、流量などのプロセスデータなどをAIが学習。製造の過程で、データ取得から20分後のガス濃度を高精度に予測することに成功した。つまり「正解の品質との誤差」を20分前に予測することによって、異常発生の前に対策を打つことが可能になる。
NTTコミュニケーションズの技術開発部、伊藤浩二担当課長は「化学プラントの未来の状態を予測し、製品の品質異常を予知するだけでなく、その推定値を用いたセンサー、測定器異常の検知にもつなげることで、より化学プラントの安全・安定運転や保全のスマート化を促進する」としている。
三井化学の生産・技術本部エンジニアリングセンター設備技術 PSE技術チーム、十河信二チームリーダーは「『トラブルが起こったあと』ではなく『トラブルが起こる前』に対策を打てるようにすることが求められている。より安全・安心で効率的な工場を作り、グローバルで負けない競争力をつけていきたい」と話す。
「当社は15年前にもニューラルネット技術を試行したが、学習用データの作成に手間がかかるなど、当時の技術ではうまくいかなかった。しかし、今日の技術は確実に進歩している」(十河信二氏)と、実用化を期待する。
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